内容説明
本書は、現在の複素力学系理論の研究において欠かすことのできない概念である「擬等角写像」の入門書である。第1部では、カントールの階段函数や高木函数のグラフ、コッホ曲線やクラインのネックレス、ジュリア集合、オズグッド曲線、ペアノ曲線といった有名な種々のフラクタル曲線を素材に、擬等角写像の自然な導入を試みる。第2部は、擬等角写像論の入門的概説である。第1部で与えるさまざまな擬等角写像の概念がすべて同一であること、存在定理の周辺、擬等角拡張法、擬等角写像による合成作用素などについて述べる。なお解説にあたっては、予備知識がなくても読み進むことができるよう、必要となる解析学の知識も適宜説明しながら、平易な解説が心掛けられている。
目次
1 停滞と変化
2 積載と勾配
3 縮小と復元
4 直線と円周
5 束縛と散逸
6 点と線
7 逸脱と制御
8 余地と限界
9 制限と拡張
10 攪乱と安定
著者等紹介
谷口雅彦[タニグチマサヒコ]
1951年奈良県生まれ。1974年京都大学理学部卒業。1976年京都大学大学院理学研究科修士課程修了。京都大学大学院理学研究科助教授、理学博士
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