出版社内容情報
17ー19世紀のイギリスはどのように覇権を制し、それが世界の日常の食習慣や文化へ影響を与えたのか。当時の料理書、新聞や雑誌の広告、在庫表、税務書類など膨大な資料を調査し、食べ物が果たした役割を明らかにする。
内容説明
コーヒー、茶、砂糖が珍しい贅沢品から日用品になるプロセス、食べ物が18世紀以降のイギリスを形成するために果たした役割とは?大英帝国はどのように発展し、イギリス人の味覚や嗜好だけでなく世界の食習慣や文化への影響を与えたのか。一八世紀の料理書、トレーディングカード、在庫表など広範な資料の調査と学際的な視野から、帝国の生産メカニズムと消費や文化との関係が立体的に浮かび上がる。図版多数。
目次
第1部 出会い、買い、売る(大英帝国の恵み;イギリスの新しい消費者;広告と帝国主義)
第2部 定義、模倣、議論(イギリス料理とは何か;人類の食物地図;食べ物の政治)
結び
著者等紹介
ビッカム,トロイ[ビッカム,トロイ] [Bickham,Troy]
テキサスA&M大学の歴史学教授。歴史学科で17世紀と18世紀の英国とその帝国、大西洋世界、および植民地時代の北アメリカの歴史について教えている。王立歴史学会フェロー
大間知知子[オオマチトモコ]
お茶の水女子大学英文学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
110
地上の四分の一を植民地とする大英帝国が成立した結果、英国の食文化や習慣は世界に大きな影響を与えた。茶やコーヒーの飲用からタバコの愛好、料理書や広告の発展まで数え切れないが、同時に海外の食材やカレーなど香辛料を大量に輸入することで歴史上初めて食の国際化を進めた。外国や植民地は英国に売れるものを輸出するため奴隷を導入したが、そうと知った英国では反奴隷運動の高まりを招くなど政治的影響も強かった。この時期、英国の存在の大きさが世界の食卓を変え、世界の歴史を変え、人の最も根源的な欲求である食の欲望までも変えたのだ。2023/08/09
K.H.
9
また邦題に騙された。原題は「食べる帝国」で、内容としては18世紀の植民地拡大がいかにイギリスの食の事情を変えていったかがメインなので、邦題はちょっと的外れだ。人々は飲食を通じて世界の広がりを感じ、大英帝国との繋がりを内面化していったという。あまりその地名に関係のない「○○風」だとかの名前が、この頃登場した料理書の相互参照によって定着する過程など、面白かった。アメリカ植民地から茶をボイコットされた側のイギリスの人々が、19世紀には西インド諸島の奴隷制廃止を訴える砂糖ボイコットを始めるという話も面白い。2022/12/28
Comics
1
原題ならは「Eating the Empire」。「イギリスが世界の食卓を変えた」と言うよりは「イギリス世界を支配して、イギリスの食卓を変えた」って感じでした。当時のトレーディングカード(イメージとしては現代の広告チラシ)豊富で良かった、出来ればカラー写真で見たかった。2022/08/14