出版社内容情報
6000万年前に出現したとされるツツジ属。その進化の歴史から、命知らずのプラントハンター、気鋭の交配育成者などの人間ドラマまでを紹介。蜜の意外な利用法、霧島連峰から世界に広まった種の話ほか、多くの逸話も。図版100点。
内容説明
6000万年前に出現したとされるツツジ属。その進化の歴史から、命知らずのプラント・ハンター、気鋭の交配育成者などの人間ドラマまでを紹介。蜜の意外な利用法、霧島連峰から世界に広まった種の話ほか、多くの逸話も。図版100点。
目次
序章 毒と毒
第1章 ツツジの性
第2章 アザレアの興亡
第3章 ツツジ狂騒
第4章 温室の感動
第5章 ツツジのふるさと
第6章 ツツジの薬効と毒
第7章 ホトトギスの涙
第8章 一族の鼻つまみ者
第9章 ツツジの保護、収集、未来
著者等紹介
ミルン,リチャード[ミルン,リチャード] [Milne,Richard]
エディンバラ大学生物学部上級講師。野草の研究を中心に、さまざまな領域の植物の進化を研究している。近年は中国の研究者とツツジの品種改良に関する共同研究を行ない、数多くの論文を発表。生物地理学にも造詣が深く、世界各地の生物多様性のパターン、植物の大陸間移動について学生たちと研究を進めている
竹田円[タケダマドカ]
翻訳家。東京大学人文社会系研究科修士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
K.H.
8
植物はわたしの弱点のひとつで、ツツジの品種を聞いてもピンとこない。でもそこを除けば楽しい本だった。特に面白かったのが、ツツジの品種改良に注がれた園芸家たちの情熱と、アジアを股にかけたプラントハンターたちの活動、そして日本でも侵略的外来種に指定されているツツジの一種ロドデンドロン・ポンティクムの迷惑この上ない生態。「ツツジ=ヒマラヤ原産」というイメージが定着していて、イギリスではポンティクムもアジアからやって来た厄介者と思われているが、実はヨーロッパ原産という。あとアザレアがツツジだというのも初めて知った。2023/02/11
才谷
3
日本人に馴染み深いツツジ。花の時期になると町のあちこちで丹精に育てられたツツジが咲いている姿を見る。それだけにイギリスの庭園で自然な姿に咲いている美しいツツジを見ると、違和感とともに刈り込んでいないツツジもいいものだなと感じる。日本ではありふれた植物であるだけに外国で中毒症状を起こす事例が多いことに驚く(ツツジの蜜から作られた蜂蜜で食中毒、薪に使って腹痛、家畜が食べて中毒死)。2022/06/16
茅野
2
同シリーズ20冊目。まだ数冊ある(邦訳されていないものも?)けど、一旦これでマラソンはお終いの予定。 ツツジを最後としたのは、やはり日本に住む者としては街路樹のイメージで、散文的で面白みに欠けるな……と敬遠してしまったからに他ならないわけだけれど、古代から戦争に利用されていたりするらしく、意外と面白かった。 たしかに「ロドデンドロン」より「アザレア」の方が発音可愛いし、詩的だよな、と思いつつ、アザレアはロドデンドロンの一種らしい。2023/09/07
木倉兵馬
1
このシリーズの中では比較的伝説などの文学系の情報が少なめだった印象の一冊。ツツジとアザレアは同じものだったり、蜜が有毒で蜂蜜になっても危険だったり、ツツジを得るために凄まじい苦労をした植物採集者たちだったり、ツツジの群生地に入ってしまいレスキューを呼んだハイカーだったり、話はいろいろありました。園芸に興味があればぜひ。2022/08/20