出版社内容情報
医師の辰史のもとに父が死んだという知らせが届いた。名家出身の父の後継者として雪深い山に建つ屋敷を訪れた辰史。彼を待ち受けていたのは、頑固な祖母、掟で定められた許婚、そして帰りを快く思わない者からの脅迫状だった。
内容説明
医師の辰史のもとに父が死んだという知らせが届いた。最後の挨拶にと雪深い山に建つ屋敷を訪れた彼を待ち受けていたのは、頑固な祖母と、掟で定められた許婚。先祖代々の掟を固く信じる彼らは、辰史を一族の後継者にと考えていたのだ。しかし、急な後継者候補の登場は、正体を明かさない何者かの反感を買う。部屋は荒らされ、脅迫状が届けられ、そしてついに…!?
著者等紹介
森谷祐二[モリヤユウジ]
1984年生まれ、福島県出身。2019年、『約束の小説』で島田荘司選第12回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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カノコ
41
名家の実家の後継者として雪深い屋敷を訪れた辰史。しかしそこで待ち受けていたのは、一族の掟に頑なな祖母と、許嫁の従妹、そして自分を歓迎しない何者かの脅迫状だった。笑ってしまうくらい『本格』要素を詰め込んだ作品。本格あるあるネタを見ている気分。で登場人物たちの軽すぎる口調が浮いている気がして違和感を覚えないでもない。古色蒼然とした物語の中に医療ミステリ要素が交わり、独特の読み心地。決して面白くないわけではなく、むしろ読んでいて非常に楽しかったのだが、なぜかピントが合わない。惜しい、という言葉がしっくりくる。2020/09/30
あっちゃん
26
うーん、オイシイ設定盛り沢山なんだけど、何処か読みづらいし、犯人&トリック&犯行動機が…(笑)まぁ、ミステリ好きにはニヤリと来る部分がいろいろあって、今後に期待という事かな( ̄▽ ̄)2022/07/21
イシグロ
13
父の死により、名家の跡取りとして雪深い屋敷に呼び寄せられた医師の辰史。しかし陸の孤島で彼を待っていたのは、何者かの脅迫だった。一方、並行して語られる小説家志望の孤児「あたし」の物語。一見関わりのない二つの物語の行く末は。 古典的な館ものである辰史パートと、「あたし」パートとの世界観のズレはどこか不穏。この二つが交差してタイトルにつながる仕掛けが読みどころです。トリック&ロジックは正直長編としては物足りないし、キャラクター造形も漫画的に過ぎるところがありますが、デビュー作としてはなかなかの読み応えでした。2020/11/10
engidaruma2006
11
ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作。この賞の一連の受賞作は大体読んでいて、今まで高水準の作品ばかりで良かったのだが、この作品に関しては自分には合わなかった。奇数章と偶数章で二つのストーリーが展開し、メインの方では閉ざされた屋敷での連続殺人に加え大掛かりなトリックが炸裂するが、全体的に見るとチグハグ。悲惨な話の中に陽気な人物を入れて緩和させるのが、成功していると思えなかったし、犯人限定の論理に、もっと決定打が欲しかった。第一、島田荘司先生が選ぶ賞の作品の中で、島田さんの本を絶賛するのってアリか?(笑)2020/07/17
四季
11
◯ 古いしきたりがある家での惨劇と設定が面白く家系図や家の間取り図を見ただけでニヤリとしてしまった。伏線の張り方も見事だったしトリックも面白かったが個人的にキャラが立ってなくて緊張感が足りなかった。2020/04/24