出版社内容情報
古ぼけたアパートの一室で、変わり果てた姿となった父親と再会した遠田香菜子。そこで出会った青年とともにアパートの調査を開始するうちに、凶悪事件の壮大な陰謀と、初めて芽生えた感情の渦に呑み込まれてゆく。島田荘司選 第6回
内容説明
古ぼけたアパートの一室で再会した父親は、日常生活もままならない変わり果てた姿となっていた―遠田香菜子は、そこで偶然出会った青年とともにアパートの調査を開始する。そんな彼らに、ある男が近づいていた。そしてそれを、ある女が監視していた。やがてふたりは、凶悪事件の壮大な陰謀と、初めて芽生えた感情の渦に呑み込まれてゆく。島田荘司選、第6回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作。
著者等紹介
植田文博[ウエダフミヒロ]
1975年熊本生まれ。都内で会社員をしながら執筆活動を行っている。2013年、『経眼窩式』で第6回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
むつぞー
32
医療に+して貧困ビジネスを扱ったミステリかと思っていたら、そんな簡単なものではありませんでした。 メインは香菜子達の事件を調べる過程と推理でもありましょう。そういう意味では謎解きというよりサスペンス的なのかも。 その推理の過程をへて香菜子が成長するのはとても良くって、これが爽やかな読後感になっているように思います。 読みやすかったし、展開も面白かったです。次の作品期待してます。2014/06/19
hydrangea
28
ロボトミーという単語を久しぶりに目にしました。最近のミステリ小説で読むとは思いませんでしたが、術式のグロテスクさはもとより、貧困ビジネスや人物造形の裏表など、個人的には嵌まる要素が多く、希望の持てるエンディングで面白かったです。他の方のレビューを読むと、だいぶ票の別れる作品になったようですが、こちらの作家さんも次回作に期待したいと思います。2015/09/22
あっちゃん
27
ロボトミー手術を題材にした福山ミステリー作品!この賞とは相性が良い!義眼な為にコンプレックスを抱えた女性が主人公、謎のイケメン青年と協力して実父の事件を追う!結構グロいシーンもあるけど先が気になり一気に読了!2015/08/02
よんよん
24
初めての作家さん。ロボトミー手術を貧困ビジネスと結びつけた内容は、ドロドロしてて気持ち悪い。本当の首謀者がだれか二転三転して、展開を追うのが少しまどろこしい感じだったけれど、素直に大切に思う感情を抱いて、必死に生きようとしてる遠田の描写に引き込まれてどんどん読み進んだ。2014/08/11
九月猫
22
プロローグからニガテな描写で読むのをためらいつつ、もう少し……と読み進めたら止まらなくなった。施術の描写はやはり苦手だけど。 「犯人」が捕まってからの最後100ページ弱が少し長い。何かを隠している人物が多く、その隠された真相が一つ一つ明らかになり、人物の印象が二転三転するキモともいえる部分だが、もっと「本編」に挿入できなかったものかと。選評にあるように読者の評価は「結末へ向けた思い入れの読書を続けられるか否か」にかかる。遠田さんに思い入れてしまった私は「桁外れの純情とセンチメント(同選評)」に同意できた。2014/06/28