出版社内容情報
岩見隆夫氏の最後の著書『敗戦~満州追想』に収載の実姉田辺満枝さんの「挿絵がすばらしい」の声に応え、
書籍未収録の挿絵を加えてカラー版とし、満枝さんのコメントと岩見氏の絶筆となった文章を加えた、姉弟で合作の絵本。
内容説明
政治ジャーナリスト、故・岩見隆夫氏の遺著『敗戦~満州追想』に添えた実姉満枝さんの挿絵から発展した感動の本!
目次
洋車
馬車
あそび
「温い栗はいらんかー」
高足おどり
靴直し
さんざし売り
モンクーホン(蒙古風)
纏足
りんごの思い出〔ほか〕
著者等紹介
田辺満枝[タナベミツエ]
政治ジャーナリストの岩見隆夫氏の実姉、1927(昭和2)年、旧満洲の大連生れ。1947(昭和22)年の引揚げまでの二十年間の満州生活の記憶は強烈で、老境に入ってから絵を描き始めた
岩見隆夫[イワミタカオ]
1935(昭和10)年、旧満州大連生れ。1947(昭和22)年、山口県防府市に引揚げ、中学、高校を卒業。1958年、京都大学法学部卒業。毎日新聞社入社。政治部副部長、サンデー毎日編集長、編集局次長、毎日新聞特別顧問など歴任。2013年6月、「サンデー毎日」誌上で末期の肝臓がんを告白、入退院中も政治ジャーナリストとして時評を執筆。2014年1月78歳で死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Smileえっちゃん
44
満州で生まれ、引き揚げまでの20年間。満州での生活を、記憶を辿りながら描かれた画文集。色鉛筆で丁寧に描かれていて、表情も豊かで優しいです。祖母も満州での苦労話を話していたことを思い出しました。戦後、故国に帰られる船上で、陸が見え始めた時の一人一人の後姿にジ~ンと来ました。無事日本に帰られてよかったです。今でもお元気でおられるのかしら・・・(S22生まれ)2016/02/29
なにょう
16
とても良い本。「生きて帰ってきた男」のように実際戦前・戦後を体験された方の本。淡々としていて良い。満州を本当に故郷として愛されているのだなぁと。また、中国人や中国風俗への関心も良い。★生まれてこの方、日本を見た事が無い。戦局の影響から学校の日本への研修旅行が取りやめに。悔しかったろう。★日本を初めて目にした船の上。そこで落命した人もいた。船の上どころか、出航を待つ間、港への途上、落命した人はいっぱいいただろうな。2016/06/26
北本 亜嵐
14
シンプルな絵と文章が心をうつ。満州から引き揚げてきた船から日本が見えた時の人々の感動はどんなにか嬉しかったことだろうか。「当たり前の日常」の大切さを教えてくれる。こんな本もあっていいかも知れませんね。2015/07/29
かんやん
9
満州で生まれ、敗戦に伴い二十歳で帰国した女性による画文集。まるで子どもの絵日記のようなのびやかな絵に短い文章が付く。珍しい中国の風俗と当時の生活ぶりで始まり、懐かしい子ども時代の回想を含みながら、敗戦(玉音放送)、ソ連軍(戦車)の進駐、内地への引き上げへと至る。色鉛筆で描かれた優しいタッチの絵は心慰めるものがあるし、文は具体的で明晰。読んで(見つめて)いると、しだいにジーンとしてくる。内地見学旅行取り止めに泣いて悲しむ女学生の姿が不憫だ。全ての魅力をこの短いスペースでは語り尽くせません。2015/03/22
さたん・さたーん・さーたん
2
満州の庶民の生活がどんなものだったか気になり手に取った。やはり「満州の夕日」、それと海水浴場での大きな月が視覚的に印象深い。大連生まれの著者が描く「故郷」日本は心情と相まって色鮮やか。大陸の乾いた大地に即席で作った「国家」や荒涼とした田畑が、著者の青春時代に落とした陰影と対照的。2016/09/03




