出版社内容情報
世界に抗して独立国家を建設した明治が終わり、都市の文化が花開き、
民衆を鼓舞、議会政治、女権運動、個人尊重の文化・芸術など、日本のベル・エポックを現出するが、
軍部・官僚機構に押しつぶされてゆく時代を象徴的な事件史で綴る。
内容説明
大正の十五年は、国家建設に邁進した明治の四十五年、昭和激動の六十四年の狭間にあって、大正デモクラシー、大正ロマン、民本主義など、現代の都市文化・大衆社会の始まりが出揃い、短いがその内容は色彩豊かである。本書では、政変や汚職、殺人や情死などの代表的な八つの事件を、信頼できる史料に基づいて発掘し、その真実は何であったかを再確認し、時代の流れを明らかにする。
目次
1 ロマンの果て
2 巨火は消えたり
3 海は汚れていた―シーメンス事件
4 総理と愛妾の最期
5 元老と霊能師
6 オホーツクの海賊
7 朴烈・文子の怪写真
8 消された国際記者
著者等紹介
三好徹[ミヨシトオル]
1931年東京生まれ。本名河上雄三。横浜国立大学経済学部卒業後、読売新聞記者のかたわら小説を発表。1966年、『風塵地帯』で日本推理作家協会賞を、1968年、『聖少女』で第58回直木賞を受賞。ミステリー、歴史小説、現代小説、ノンフィクションなど幅広い分野で活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
80
大正、という独特な時代のスキャンダルを8つ。 枝葉が急激に成長する的書き方で、何が主題だか誰が主人公だかわからなくなる。ま、ワザとのテクニックかもしれないけど、私にはちょっと読みにくかった。 ロシアで消えた国際記者、の話は知らなかったな。しかも片山潜が絡んでるし。 この間、生家を見に行ったばかり。2021/07/25
誰かのプリン
14
近代化へ向かうこの時期、働く者の権利を主張する労働者が増えた。 現代なら当たり前の労働者の権利でも、当時としては解雇覚悟で主張しなければならなかった。実際解雇された労働者も多数存在した。 現代に生きていて良かったと実感しました。2019/10/22
ゆずこまめ
7
まだ幕末の頃から活躍していた人が現役な反面、近代化も進んでいて、古い日本と新しい日本のせめぎ合いです。短いけれどいろいろな事件があった、ある意味にぎやかな時代だったような印象。もっと大正について知りたくなりました。2014/07/22
takao
3
ふむ2024/03/30
まさこ
1
読みづらかった。藩閥政治と軍部の台頭と、社会主義とロシアと…維新の大物がまだ生存していたり、彼らの教え子や二世・三世が活躍していたり。グローバルかと思えば意外に江戸時代から変わらなかったり。大正、掴みきれず。要勉強、ですね。2014/06/30