出版社内容情報
今年が生誕百年、獄中で転向しクリスチャンとなった椎名。心中事件を繰り返し、ついにその生を終えた太宰。敗戦後の混沌の中で目覚しい作品群と壮絶な生き方で時代を駆け抜けた2人の両極端なイエスへの想いは現代の闇をも照らし出す
内容説明
敗戦のため混沌とした一九四五年の夏以後の日本文学を代表する作品をつぎつぎに発表した二人だが、今年(二〇一一)が生誕百年の椎名麟三は、暗い表情から信仰の世界に到達し、たちまち明るくなった。生誕百二年の太宰治は、聖書を手にしつつもキリストとはついに無縁に終わり、明暗をくっきりと分けた…。人の生命が鴻毛より軽い現代の不幸を、二人の作家の人と文学を読み込みつつ検証。
目次
序 鴻毛のように軽く、重い生命が消えていく
椎名麟三の神(生きているイエスを見た;「悪文」と「変節」に関する二つの文章;「助けてくれ」の意味;肉親の恥をあえて何故書くのか;異端者は神の道化師;外伝椎名麟三)
太宰治の神(自殺の思想;師弟の暗闘;心中の真説;太宰治の代弁;太宰治への光;太宰治の神;『暗夜行路』の謙作は何故大山に登ったか―志賀直哉の神)
著者等紹介
清水昭三[シミズショウゾウ]
1930年、山梨県生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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