内容説明
徹底管理された市民生活と青少年教育、プロパガンダであり戦争対策でもあったスポーツ振興、産業の発展や景気復興策とともに行われたユダヤ人虐殺や異民族差別…。戦時下ドイツのさまざまな局面を280点におよぶ貴重写真とともに紹介。
目次
ナチス・ドイツの誕生
警察国家
抵抗運動
芸術文化とプロパガンダ
青少年
女性
都市と農村
スポーツ
経済と労働者
大量虐殺
軍と兵役
戦争と国民
それぞれの人生
著者等紹介
セリグマン,マシュー[セリグマン,マシュー][Seligmann,Matthew]
ノーサンプトン大学歴史学研究所研究員。専門はヴィルヘルム時代ドイツの外交ならびに植民地政策の研究。著書多数。王立歴史研究会フェロー
ダヴィソン,ジョン[ダヴィソン,ジョン][Davison,John]
近代戦争の専門家。英国在住
マクドナルド,ジョン[マクドナルド,ジョン][McDonald,John]
オックスフォード・ブルックス大学でナチス・ドイツ、ノーサンプトン・ユニヴァーシティカレッジでホロコーストを教える。英国在住
松尾恭子[マツオキョウコ]
1973年熊本県生まれ。フェリス女学院大学卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
36
豊富な資料画像とともに説明されている当時の状況に、胸が悪くなったり、これが現代も悪用されたら…と恐ろしくなったり。ユダヤ人男性と交際していることを公然とさらされている女性とその横でポーズをとるナチス隊員たち。その写真にゾッとしました。パワーゲームの恐ろしさ。知っておかないといけない…絶対二度とこのやり方に利用されてはいけない。市民が持てる最大の武器は知識だと思います。2021/10/06
柔
19
ヒトラー政権下での事実は今までも読んできたが、写真で見るとよりリアル。幼少期から闘争心を煽る格闘技を推奨しユダヤ人を批判、ヒトラーを神格化しナチズムを拡大していった。改めて教育の重大さを感じた。表紙にあるごく普通の家族がなんの迷いもなく、ナチスを支持する姿が非常に印象に残る。幼児の死体をモノの様に片手で運ぶ写真には言葉を失った。1936年のベルリン五輪時にはナチス色を全て隠し、世界中を騙した。現代に照らし合わせると2022北京五輪で同じ事が行われようとしているのではないか。世界は歴史から学ぶ事が多くある。2021/07/09
sibasiba
16
タイトル通りの内容。しかし期待した12章の「それぞれの人生」で取り上げた4人が反ナチス側で親ナチスの人間がいないのが不満。「血と土」の実態とか女性政策とか興味深い。「退廃芸術展覧会」の発想がすごいな取り敢えず見てみたい。現代ドイツでスポーツが盛んなのはナチスドイツ時代の影響だったりするのだろうか。首にカードを下げて晒されている写真が多い。ユダヤ人の髭をハサミで切る写真は殴りつけられるより酷く感じた。2014/08/23
風に吹かれて
13
女性は良き母、良き妻そして良き出産者に、男性は命を捨てて国のために戦う戦闘員に育てるために、女性はドイツ少女団そしてドイツ女子青年団に、男性はドイツ少年団そしてヒトラー・ユーゲントに加入することへの圧力をかけられた。ナチス的心身優良児に育てるための教育が行われスポーツが奨励された。少年の頃から武器への関心を育み国家への忠誠心が育てられた。そして、大量虐殺。 いつも思うのだ。もちろんヒトラーと彼の取り巻き連中は悪だが、ヒトラーを殺さずドイツの普通の人々の命を奪い生活の地を破壊することが正義なのか。⇒2021/06/02
ネジとサビ
12
タイトルに写真で見ると謳っているだけあり、写真が多用され大変読みやすかった。ナチス時代、薄い帯状の理解度しかなかった私の歴史観に肉付けがなされ、大満足の一冊。当時のドイツ国民の暮らしぶりや空気感、約12年間のヒトラー・ナチス時代の政策や方向転換も知ることができた。ラストのサバイバー4人の日記や手記の紹介も忘れがたい。2021/08/21