内容説明
「勢力均衡」と「正統性」に基づいた現実主義外交で東西冷戦を軍縮方向へと外交戦略の舵を切ったキッシンジャーは、いかにして「国際秩序」の構築を目指していったのか。ウィーン体制による欧州秩序の再構築を分析しつつ、「外交」の本質を明らかにする。
目次
序論
大陸国の政治家
島国の政治家
メッテルニヒと政治的均衡の定義
連合の結成
同盟を試めす仕事
連合の危機
ショーモン条約と平和の本質
ウィーン会議
神聖同盟と安全保障の本質
メッテルニヒと保守主義者のジレンマ
エイクス・ラ・シャペル会議と平和の組織化
カールズバード条例と中央ヨーロッパの支配
トロパウ会議とヨーロッパの組織化
ライバッハ会議とヨーロッパ政府
ギリシアの反乱
ステーツマンシップの本質
著者等紹介
キッシンジャー,ヘンリー・A.[キッシンジャー,ヘンリーA.][Kissinger,Henry A.]
1923年ドイツ生まれ。38年にナチス政権からの迫害を逃れてアメリカに渡る。ハーバード大学では『回復された世界平和―メッテルニヒ、カースルレー、そして平和の問題1812~22年』で博士号取得。69年にニクソン大統領の国家安全保障問題担当大統領特別補佐官、フォード大統領政権では国務長官を務める。73年に、ベトナム戦争の和平交渉での功績が認められ、ノーベル平和賞を受賞
伊藤幸雄[イトウユキオ]
1942年神奈川県横須賀生まれ。明治大学卒業後、政治家秘書等を経てランカスター大学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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バルジ
4
名著という他ないというのが率直なところ。本書では普遍的価値を力を用いて追求しようとしたナボレオンとそれに代わる「正統性」と「勢力均衡」を求めたメッテルニヒ・カースルレイを軸にいかにして秩序が築かれたかを活写する。特にメッテルニヒの流麗な外交術は読者を魅了する。時に軍事力を用いて自身の政策遂行に必要なポジションを作り、またある時は自身の影響力を高めるため「待ち」に徹し、自身にとって最高の交渉ボジションを確保する。しかし悲劇的なのはメッテルニヒ自身は自らの政策が体制にとって「時間稼ぎ」と認識していた点であろう2022/10/10
飯田健雄
3
"The World Restored"→「回復された世界平和」、 30歳代の時、読んだ本で一番おもしろかった。 書いた人は、御存じ、アメリカの元国務長官 ヘンリー・キシンジャー、 内容は、19世紀前半、ナポレオンの時代からポスト・ナポレオンの「ウィーン体制」の政治家の駆け引き、 主な登場人物は、ナポレオン1世、メッテルニヒ、イギリス外相、キャッスルレー、カニング、 なんというか、ウェーバーの小説版のような筆致だった、