内容説明
「あなたはただのお飾りなんです」議会で厳しい口調で不正を追及した議員が、その直後、ひとり残った議場で刺殺された。殺害時間と見られる十数分の間に市庁舎を出入りした人間は限られている。ひとりひとりの証言を元に確実に条件を絞り込んでゆくかに見えたのだが…。堅実で巧みなストーリーテリングとともにシニカルな味わいも深い、名匠の代表作。
著者等紹介
ウェイド,ヘンリー[ウェイド,ヘンリー][Wade,Henry]
1887年イギリス。オクスフォード大学を出た後第一次大戦に従軍、戦後はバッキンガムシャーで治安判事、参事会員を歴任。いまだ紹介され尽くせていない英国黄金時代の代表的作家
武藤崇恵[ムトウタカエ]
東京生まれ。成蹊大学文学部卒。英米翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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雪紫
39
出る杭は打たれる・・・? 不正を追求した攻撃的なトラント議員が刺殺された。3人の刑事達で真相に行き着くのは誰か?登場人物欄がないので(なおヴィンテージミステリ恒例)最初は苦戦したものの、あまり政治関連絡んでないせいか、キャラを把握すれば被害者の奥さんや市長を始め、かなり読みやすくなった。派手さはないが堅実な良作。2021/01/03
bapaksejahtera
12
「ヨーク公階段の謎」に次ぐ1930年作品。英国の小さな町が舞台。資産家の準男爵が市長。彼の息子がWW1で戦死し、その繋がりで主人公である若い警察本部長と議会の衛視を雇う。左派の議員が、住宅建設用地が土地ころがしで高値掴みをしたという疑惑を取上げ、続いて有力議員が市長を個人的に貶める演説で議会は紛糾。直後休会となった議場で件の有力議員の惨殺死体が。警察本部長はロンドン警視庁の捜査を依頼するスタート。捜査の移譲を面白く思わぬ地元の警視が、トボけた悪役になる他、皆納得の行く性格設定ですんなり読ませた。好みの作風2024/05/14
J・P・フリーマン
3
登場人物一覧もなく、始めの方はなかなか入込ずらかったけど、これはいいじゃないですか。ロット警部によるアリバイ崩しかと思いきや、最後の最後でこうくるとは思わなかったなあ。見事なプロットで、最後の一行も素晴らしかった。派手さはないが良質な作品です。2016/01/13
おふねやぎっちらこ
2
こんな作家がこんな作品を書いていたんだ。本格ミステリ黄金期侮りがたし。2024/08/31
cinos
1
見取図にタイムテーブル、そして張りめぐらされた伏線と、黄金期のミステリという感じ。やられました。2012/06/07
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