内容説明
本書は、「近代日本の国家形成と皇室財産」を主題とし、それを「皇室経済関係法令の成立史」という法制史の立場から実証するものである。本書は、明治初年から昭和戦前期までを論述の対象とし、わが国において立憲君主制が確立していくなかで、天皇・皇室が、国家にどのように位置づけられ、制度化されたのかを、皇室経済関係法令成立史の観点から解明することを目的とする。この点に着目したのは、皇室と国家との関係を、抽象的・概念的に論ずるのではなく、皇室の運営に不可欠な経済関係法令の形成過程を解明することにより、具体的・客観的に論証することが重要だと考えたからである。これは、天皇や皇族の公私の関係を究明することになり、また、皇室財産、皇室費、天皇への課税、大礼費用や政教分離といった諸問題を解決する手がかりにもなる。
目次
前篇 皇室経済関係法令の形成過程―明治立憲君主制の成立(宮中・府中の二元化;『皇室典範』制定過程における経済規定論議;皇族制度形成過程における井上毅と柳原前光;皇族経済の独立と『皇室会計法』)
後篇 皇室経済関係法令の完成過程―明治立憲君主制の展開(明治典憲体制の成立と『皇室典範増補』の公布;『皇室財産令』の成立;『皇室会計令』の成立;『皇族遺言令』の成立 ほか)
著者等紹介
川田敬一[カワタケイイチ]
昭和42(1967)年大阪府寝屋川市生まれ。平成元年京都産業大学法学部卒業。同11年京都産業大学大学院博士後期課程修了 博士(法律学)。現在日本学術振興会特別研究員。書評に「ヴァーノン・バグダナ著『君主制と国制』」(『産大法学』第34巻第1・2合併号所収)
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