内容説明
冷徹なる小さな悪魔、ハエ。多数の稀少図版とともに、ハエの知られざる生態と人間との死闘の歴史を徹底詳述。
目次
第1章 太古からの死闘
第2章 敵のX線透視
第3章 ハエに対する人間の武器
第4章 人類に対するハエの武器
第5章 人間がハエを利用する時
第6章 ハエの高尚化
第7章 不確かな未来
著者等紹介
モネスティエ,マルタン[Monestier,Martin]
ジャーナリスト、作家。彼の著作はざまざまな言語に翻訳されている。著書に『図説死刑全書』『図説自殺全書』『図説動物兵士全書』『図説排泄全書』『図説奇形全書』『図説決闘全書』(いずれも原書房)などがある
大塚宏子[オオツカヒロコ]
学習院大学文学部フランス文学科卒業。翻訳家。訳書に『図説自殺全書』『図説決闘全書』、共訳書に『図説死刑全書』(いずれも原書房)などがある
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ラガードー
1
生物面より歴史・文化面からの考察が充実し興味深い。単純にハエをテーマに掘り下げられてもマニアックすぎて付いていけないだろうが、本書は歴史上有名な話をベースにハエの小話を付け加える文体なので興味を惹かれる。2015/02/13
みい⇔みさまる@この世の悪であれ
1
○…この害虫に鼻持ちならない人は決して読んではいけません。ハエは最強の生き物だなとつくづく思いました。2008/12/18
關 貞浩
0
本書ではハエを人間の敵、対立する存在と位置づけているが、全書と冠するにふさわしく、歴史、生物科学、宗教、芸術といった様々な観点からハエについて書きつくしている。種の豊富さ、恐るべき適応能力と世代交代のスピード、卓越した身体能力、そして圧倒的な無関心。人間がどんなに立ち向かっても、ハエには闘っている自覚すらないのではないだろうか。重くなった雲が雨となって大地に降り注ぐように、思い思いに飛び回り繁殖を繰り返すハエたちは、さながら形のある自然現象のよう。ハエたちにも、眼に見えぬ王がいるような気がしてならない。2016/03/08
Fumitaka
0
最近人間の話ばかり読んでたので、人間よりも優れ人間よりも美しい種族に関する著作を久々に読み、楽しい時間を過ごすことができた。浅学にして、原油の中で育つセキユバエや幼生生殖という非常に面白い生態を持つタマバエ、あとラセンウジバエが90年代の頭にアメリカ政府を動かしていた事実は初めて知ったので大変興味深い。改めてハエと人間の話をまとめてもらうと、ハエがいかに人間に近い存在と思われてきたかわかる。最後に、窓に止まった蠅を叩こうとしてハンマーを振り上げている男の、大変味わい深い挿絵を挿んで本は終わる。2020/01/05