感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
6
色物風の表紙に騙されてしまうが、中身は非常に真面目で貴重なソ連軍のインサイダーもの。著者は西側に亡命したソ連軍将校(著者名は偽名)で、冷戦期に謎の多かったソ連軍の組織にまつわるあれこれを解説している。ソ連軍の最高指揮系統は政府ではなく、共産党の国防会議(この本では防衛会議)に属しているが、その内容は秘密だった。そこから話を興して、行政上の最高機関である「最高会議幹部会」は単なるお飾りであるように、政府には実務権限ばかりで、決定権は全て党組織が独占しているという共産主義国家独特の権力構造を解説している。2023/02/04