出版社内容情報
YouTubeやFacebook等がサービスを開始する以前の2000年代後半?2010年代、日本ではすでにニコニコ動画やmixiといったプラットフォーム(PF)が浸透し、国内で「勝者総取り」と言っても過言ではない地位を築いていた。しかし2024年現在、いずれもサービスは継続しているもののかつての勢いは見る影もない。本書は、このような一度は成功したPFビジネスがその競争力を持続できないのはなぜか、という問いを出発点に、成熟段階にあるPFビジネスのマネジメントを検討する。
GAFAMといった成功した著名PF企業はまず規模の拡大から勝者総取りに近い地位を築いており、研究面においてはそのような PFビジネスの成功要因あるいは失敗要因を追うものがほとんどである。そして多くの実務家や研究者が、Get-Big-Fast戦略を信奉し、ネットワーク効果を梃子とした戦略を追求するが、PFビジネスの戦略は本当にそれしかないのか。
本書は、かつて一世を風靡した日本のソーシャルメディア型 PF の「ニコニコ動画」「クックパッド」「ミクシィ」を研究対象に、成熟段階に到達した PF 企業がその地位を失う衰退メカニズムを分析することに管見の限り初めて挑戦した研究書である。さらに後半では、いったん衰退 / 成熟した企業が成長を遂げている事例として「ニコニコチャンネル」「pixiv」を分析し、PF 企業の持続的成長のヒントを導き出す。
「規模が大きいことは素晴らしい」という考えに疑問を呈し、小さくても、後発でも、一度衰退したとしても、持続的に成長できるプラットフォームビジネスのマネジメントを考える。
内容説明
一度は一世を風靡し確固たる地位を築いたあのプラットフォームが、その地位を失ったのはなぜか?これまで信奉されてきた「Get Big Fast戦略」とは異なる視点から、衰退・成長の要因を導き出す。プラットフォーム同士の競争が激化していく今後に、成長のための新たな視点を提供。
目次
序章 問題設定:成熟したプラットフォームの衰退
第1部 環境変化に直面したソーシャルメディア型プラットフォームの衰退(理論的検討(1):成熟プラットフォームの競争力の促進・阻害要因
理論的検討(2):ソーシャルメディア型プラットフォームの企業行動と補完者エンゲージメント
第1部のリサーチクエスチョンと研究方法
環境変化と認知的慣性―ニコニコ動画の事例―
認知的慣性の克服後に待ち受け得る二重の慣性―クックパッドの事例―
後発者への同質化の陥穽―ミクシィの事例―
環境変化に直面したソーシャルメディア型プラットフォームの比較事例分析)
第2部 ソーシャルメディア型プラットフォームの持続的な成長に向けた萌芽的研究(理論的検討:プラットフォーム企業の持続的な成長に向けた検討;プラットフォーム境界資源と補完者エンゲージメント―ニコニコチャンネルの事例―;水平的補完性を活用したプラットフォームの多角化―pixivの事例―)
終章 プラットフォームビジネスの持続的成長に向けて
著者等紹介
木川大輔[キカワダイスケ]
明治学院大学経済学部准教授。1982年生まれ。2017年首都大学東京(現 東京都立大学)大学院社会科学研究科博士後期課程修了、博士(経営学)。民間企業勤務を経て、2018年東洋学園大学現代経営学部専任講師、2021年同准教授を経て、2023年より現職。日本ベンチャー学会第12回清成忠男賞論文部門本賞(2017年)、同第9回書籍部門(2021年)受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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