出版社内容情報
従来、同質性を前提としていた日本企業では、「組織に適応した従順な従業員」が求められ、組織と従業員が同じ方向を向いていること、すなわち個人と組織が適合していることが良しとされてきた。しかし、グローバル化や少子高齢化、デジタル技術の急速な進歩といった外部環境の変化が組織にも多様性と不確実性をもたらすことになった現在、むしろ違いを活かし、出る杭を伸ばして市場や技術の変化に対応していくことが求められるようになってきている。
本書は、従業員の不適合の認知、それがもたらす行動と結果、そしてそれらの時間経過に伴う変化を、外部環境(顧客市場)への適応の文脈においてインタビューから読み解き、どのような不適合が組織に望ましい結果をもたらすのかを探求していく。その際に従来の研究とは異なり、外部環境として顧客市場への適応の論点を加えて組織をオープン・システムとして位置づけると共に時間経過に伴う変化も追い、適合の認知を動態的(ダイナミック)に捉えている点に特徴がある。そして、不適合がもたらすダイナミクスによって、組織が活性化され変革や成長につながる、ということを示す。
不適合があるからこそ生まれてくる力の可能性に着目した本書。大きく変動する環境に直面し、いま、変革しなければという危機感を持つ日本の組織に必要なマネジメントへの示唆に富む。
内容説明
個人と組織の志向性が異なるとき、何が起きるのか。不適合の認知、それがもたらす行動と結果を外部環境(顧客市場)への適応の文脈をトレースして探究する。
目次
1 序論
2 先行研究
3 リサーチ・クエスチョンと研究方法
4 適合・不適合の分類と特徴
5 適合・不適合の認知:顧客志向性価値観の形成過程からの分析
6 不適合を認知した個人の適応行動
7 不適合がもたらす外部環境適応のダイナミクス
補章 先行研究詳説
著者等紹介
山〓京子[ヤマザキキョウコ]
立教大学大学院ビジネスデザイン研究科特任教授。東洋大学短期大学ホテル観光学科卒業後、旅行会社に就職。海外駐在帰国後に、ロイタージャパン、日本ゼネラルモーターズにて能力開発に従事。エルメスジャポンでの人材開発マネージャーを経て、人事・組織開発コンサルティングのアテナHRODを設立。日本企業や外資企業日本法人での人事コンサルティングや研修講師、さらにJICA日本人材開発センタープロジェクトで移行経済国7か国の現地経営者に対して人的資源管理の実務指導を行う。1996年放送大学教養学部卒業、2009年筑波大学大学院ビジネス科学研究科修了、2019年神戸大学大学院経営学研究科博士課程後期課程修了。博士(経営学)。学習院大学経済学部特別客員教授を経て、2021年より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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