目次
19世紀の原価管理システム
能率、利益および科学的管理―1880年から1910年
垂直的統合企業の管理―1914年までのデュポン火薬会社
事業部制組織の管理―1920年代のゼネラル・モーターズ社
原価管理から原価計算へ―適合性の喪失
意思決定目的のための原価計算―学究者の奮闘
1980年代―管理会計システムの陳腐化
新たなるグローバルな競争
工程管理や製品原価計算のための新システム
将来の業績測定システム
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
iqo720
1
大学の教科書を読んでいるかのよう。久々に骨太の本を読んだ。管理会計に関する仕事をずっと続けているが100年も前から原価振替についての議論があったなんて知らなかった。たかが原価計算なんて考えて機械的に作業してきたのでここまで深く考えたことなんてなかった。何事も原文にあたることの大切さを教えてくれる。2022/01/15
カタナシ
1
1987年のアメリカの時代背景を考えながら読む必要があった。管理会計の発展の歴史と、それが外部公開のための財務会計によって正しい解釈をされずにいるとの主張。確かに財務諸表は短期の成果を表すものであって、一商品のサイクルを長期的に表せるものではない。またファイナンス理論等を利用して、財務諸表を株主に良く見せるようにすることもあり、健全とは言えない。 現代の企業はそういう部分には気付いていて管理会計も重要視している。管理会計的なサイクルが財務会計に反映されると考えると、将来予測の諸表になるのでは。2021/03/13
かった
1
タイトルは、ミルトンのParadise Lostから来ている。驚くべきは20世紀初頭の米国の原価管理で、価格を決めること、生産工程を改善すること内部調達と外部調達の判断等本当に「役に立つ」ための管理会計となっている。 それが財務諸表作成のための会計に変貌してしまった。 翻って日本の場合はどうだろう?財務会計と管理会計はシステム的には別個になっているが管理会計は「役に立っている」のだろうか?私の見る限り単に入力が面倒くさいだけで明確な目的を持っているようには見えない点はアメリカと変わらない。2018/05/09