出版社内容情報
画から読み解く19世紀〈風俗ファイル〉
バルザックの《人間喜劇》に代表されるように、19世紀フランスほど、人間の欲望や本質が剥き出しになった面白い社会はないだろう。現代の日本における「女子高生」(JK)のように、当時のパリにおいては「お針子」たちが男性たちのファンタスムを掻き立てる欲望のアイコンであった。また、医者や弁護士といった実用的な職業を目指さず文学部や理学部に進学し、その後ドロップアウトして田舎の高校の復習教師になった、「黒服の悲惨」と呼ばれる高学歴ワーキングプアがごまんといた。その他、法廷では弁護をしない「代訴人」、情報通の「門番女」、医者より儲かる「薬剤師」、自営業としての「高級娼婦」……カラー挿絵版画付の風俗観察百科『フランス人の自画像』やバルザックやフロベールの小説に描かれた様々な職業の実態から、19九世紀フランスの風俗や社会が手に取るようにわかる! 読売文学賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MASA123
10
バルザック(1799-1850)、フロベール(1821-88)の記述や、鹿島茂さんが蒐集した文献、資料、貴重な挿絵などで、パリ風俗の理解が一気に進みます。 オペラ「椿姫」の高級娼婦がなにかわからないままに音楽鑑賞していると、チコちゃんに叱られますよ!(たぶん出題されないけど)、「お針子」、新人女優、乳母、薬剤師とか、興味ぶかい話がたくさん読めました。 ドガ、マネ、ルノワールの絵画にも、社交界夫人、踊り子、娼婦などが登場するので、絵画の理解もふかまりますね(原田マハさんは説明してくれないよ)。 2023/10/13
桜花
3
フランスの様々な職業について解説されています。 レオナルドダヴィンチの父親が確か公証人だったと思います。 (ただ村の公証人だから裕福と言ってもどれほどかは疑問) 「公証人」は馴染みがないからわからなかったけれどなるほど裕福になれそうですね。 まさにゆりかごから棺桶まで、って感じ。2020/07/18
kaz
2
挿絵を中心に気になったところを拾い読み。正式な医師と免許医師とがあり、免許医師が生まれた背景に革命の影響があったとは。尤も、江戸時代の日本の医師もひどかったが。図書館の内容紹介は『法廷では弁護をしない「代訴人」、情報通の「門番女」、医者より儲かる「薬剤師」、自営業としての「高級娼婦」…。バルザックやフロベールの小説に描かれた様々な職業の実態から、19世紀フランスの風俗や社会がわかる!』。 2023/07/16
柴田塔
1
19世期フランス小説での「職業」がよくわかる。代訴人とか高級娼婦とか。2020/09/01
ふゆきち
1
もっと早くに出会っていたかった。19世紀フランス文学を読むうえで非常に助かります。2020/08/02