出版社内容情報
東京裁判で被告人全員の無罪を説いたインド人パール。アジアの自主と平和への訴求、法と真理に捧げられた妥協なき生涯。
【著者紹介】
1975年、大阪生まれ。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究科博士課程修了。学術博士(地域研究)。現在、北海道大学大学院法学研究科・公共政策大学院准教授。専門は南アジア地域研究、近代政治思想。主要著書『中村屋のボース』(大佛次郎論壇賞受賞)『父 ボース』ほか多数。
内容説明
パールが自らの判決書で訴えたかった真のメッセージとは、何だったのだろうか?東京裁判を批判した意図はどこにあったのだろうか?生い立ちと法学者としての活動、裁判中の動向を追いながら、判決書を詳細に読解する。世界連邦の理想、原爆投下の糾弾、日本軍による残虐行為の断罪、再軍備批判、平和憲法護持といった主張を検証し、パールの実像と思想の核心に迫る。
目次
第1章 前半生―法学者として
第2章 東京裁判
第3章 パール判決書
第4章 パール判事へのまなざし
第5章 再来日
第6章 晩年
著者等紹介
中島岳志[ナカジマタケシ]
1975年、大阪生まれ。大阪外国語大学(ヒンディー語専攻)卒業。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了。学術博士(地域研究)。博士論文で第3回アジア太平洋研究賞受賞。現在、北海道大学大学院法学研究科准教授。専門は南アジア地域研究、近代政治思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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駄目男
8
パール判決書というのは英文で25万語、講談社文庫で1400ページを超えるものらしい。東京裁判においては以前、ドキュメンタリ映画があり佐藤慶のナレーションで見るも見事な作品になっている。その中で語られている「共同謀議」が問題で、相手の名前こそ知れ、実際に会うのは本法廷が初めてというケースで、会ったことのない相手と共同謀議とはこれ如何にというところだろう。パール判事の見解は、本法廷は「事後法」に基ずくもので、検事側の言う「文明の裁き」を激しく糾弾し「数世紀にわたる文明を抹殺」する行為であると逆に避難している。2020/06/06
まるこ
4
非常にわかりやすい文章。近年、パール判事の判決書が、大東亜戦争肯定論によく関連付けられてくるが、決してパールは肯定などしていない。 色々考えさせられる。2014/09/28
ジャケット君
1
二年前、パル判事についての本を大学で探していた。田中正明の本を手に取った。そこには東京裁判における日本の戦争行為は犯罪ではない間違った裁判なんだと書かれていると感じた自分がいた。こう感じることはこの本が右翼的歴史観の本である証左だ。そんな既存の歴史観を批判し中立に寄り添ったのが本書だろう。パル判事が事後法である平和に対する罪、人道に対する罪を植民地主義的な大国の傲慢さから生まれてくるものと批判する。ここまでは分かる。パル判事の意見書を単なる日本を擁護する生易しいものではない。そんな見識を持ったうえでじゃあ2024/07/10
印度大盛
0
読書人生初の、読むに耐えないゴミ本を引き当てた。パール判事の人生を語りながら、著者の歪んだ持論に終始こじつづけている。著者は、歴史に、少なくともパール判事に謝るべき。これが、当方の私見である。絶賛されている方もいらっしゃるので、後は読者個個人の判断に委ねたいです。
zero
0
◎2012/11/24