出版社内容情報
「人は父親殺しによって象徴される〈父〉との別離の罪を償わなければならない」。ルソーの矛盾に満ちた思想と行動を精神分析や行為理論を駆使して解剖した記念碑的著作。解説=鶴見俊輔
内容説明
「人は父親殺しによって象徴される“父”との別離の罪を償わなければならない」。ルソーの矛盾に満ちた思想と行動を精神分析や行為理論を駆使して徹底解剖した「文芸の社会学」の記念碑的著作。
目次
第1章 ルソーの自己革命(問題と方法;同一化 ほか)
第2章 ルソーのユートピア(二つの自己革命と二つのユートピア;「スパルタ」ユートピア ほか)
第3章 ルソーの直接性信仰(溶解体験の成立;内部の優位 ほか)
付論 ルソーの集団観(「個人主義者―集団主義者」問題の検討;人類・国家・中間集団 ほか)
著者等紹介
作田啓一[サクタケイイチ]
1922年生まれ。京都大学文学部哲学科卒,京都大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うえ
6
「市民としての幸福は、ルソー自身によって現代において望みえないものとみなされていた。…コルシカ島の例外を除いて、ヨーロッパの国々は成熟期を過ぎ、美俗を失っているからである。しかしルソーの死後、彼の一般意思や人民主権の理論が、彼自身の予想しなかった形で大国において現実化し、フランスを初めとしてヨーロッパの諸国が共和政へと政体を転換していった。これらは代議制の装置を伴う共和政なので、ルソーによって肯定されるはずがない…けれども、主権者は人民であるから、人々がみずからを国家と同一化しうる制度上の根拠が生じた。」2021/07/18
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ルソーを①自らが自己革命と名付けた時期(父への回帰→理想我と自我の関係を国家と個人の関係に投影)②人の顔を気にする臆病な人間に戻った時期(パリを出てから→相互依存への嫌悪)③世間から変化を強いられた時期(1757年以降→自然人を元に社会を考えた)に分けて整理2017/07/21