出版社内容情報
19世紀の極めつきの名作から20世紀の逸品、そして現在まで、小説の読みどころ、味わい方を語る「フランス小説美味礼讃」。
内容説明
「小説に読み耽っている人間ほど幸福なものはないだろう。きびしい現実の法則を少しばかり脱け出し、とりわけ自分自身から自由になって…」。トゥーサンやジャン・ルノワールの翻訳家が19世紀の名作から20世紀の逸品まで、小説の読みどころを語る「フランス小説美味礼賛」。uブックス化に際し、書き下ろしの一章を新たに収録。
目次
1 恋する十九世紀小説(スタンダール語り下ろす―『パルムの僧院』;バルザック悶々―『谷間の百合』;ネルヴァルと女神―『東方紀行』 ほか)
2 二十世紀への架橋(夢うつつの詩学―ネルヴァルからプルーストへ;扉としての書物―ブルトンとネルヴァル)
3 フランス小説は、いま(「フランス語作家」としてのフォークナー;BORIS VIVANT?―ヴィアンとフランス小説の現在;勝手に逃げろ!―ソレルスと現代小説のストラテジー ほか)
著者等紹介
野崎歓[ノザキカン]
1959年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科・文学部准教授。専門は19世紀フランス文学・映像文化論。『ジャン・ルノワール 越境する映画』(青土社)で2001年度サントリー学芸賞、『赤ちゃん教育』(青土社、のち講談社文庫)で2006年度講談社エッセイ賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ソングライン
13
スタンダール「パルムの僧院」、バルザック「谷間の百合」、ネルヴァル「東方紀行」、モーパッサン「べラミ」19世紀の男女の恋愛が描かれたフランス文学から始まり、20世紀初めのプルースト、ブルトン、そして20世紀末のヴィアン、ソレルス、ウェルベックへと続くフランス文学の変遷を紹介する文学書です。フランス文学者で翻訳者の作者は作品の本文を紹介しつつ各作家、作品の読みどころを解説しています。2023/09/27
うた
10
パルムの僧院とフランスにおけるフォークナーについてのみ読了。やっぱりパルムの中心人物であり、最も魅力的なのはサンセヴェリナ夫人ですよね。アンナ・カレーニナとはまた別に記憶に残る毅然とした女性像。書名は扉となっていますが、基本的に取り上げられた作品を読まないと、魅力はわからないかもしれません。2020/11/21
takao
1
ふむ2024/10/03
H2A
1
野崎歓のチョイスはちょっとひねりがある。スタンダールなら赤と黒よりパルムの僧院、ネルヴァルなら東方紀行というように。が、この人の評論は良い意味で素人っぽく、楽しさを前提にしているので、純粋に楽しめる。2010/12/12
さぼ
0
② 終始内在的で高級なファンブックみたいな本。各章毎の作品を読んでから読まないと辛いなという感想。2016/01/24