内容説明
「最初の社会」から論じて、社会契約による正しい統治のあり方を喝破した民主主義の聖典。訳者による詳細な注に川出良枝氏の解説を加えた決定版。
目次
第1篇(第一篇の主題;最初の社会について ほか)
第2篇(主権は譲渡できないこと;主権は分割できないこと ほか)
第3篇(政府一般について;政府のさまざまな形態を構成する原理について ほか)
第4篇(一般意志は破壊できないこと;投標について ほか)
著者等紹介
ルソー,ジャン=ジャック[ルソー,ジャンジャック][Rousseau,Jean‐Jacques]
1712‐78。思想家。ジュネーヴで時計職人の子として生まれる。38歳のときにフランスのアカデミー懸賞論文『学問芸術論』で当選して時代の寵児に。『人間不平等起源論』や『社会契約論』に象徴されるように、人類史の起源を措定して文明社会をトータルに批判。フランス革命にも大きな影響を与えた
作田啓一[サクタケイイチ]
1922年生まれ。京都大学文学部哲学科卒、京都大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sk4
53
最近、太宰治の短編集(森見登美彦氏編)を読んだ時、昔の作家さんなのに新しい感性してるな〜、逆に今ってあまり進歩してないのかな〜、などと思ったのですが、この『社会契約論』をあらためて読むと、うわぁ、現代の人間ってこの時から何も進歩してね〜、と痛感しました。民主化は不可能という前提で論ぜられてると思いますが、現に日本は戦争という破壊を経ても、民主主義という名のプロトコルで回す社会主義国家として再生したと思う。ガチの方で。塩野七生氏の著書に、ルソーが出せなかった結論が在るのかもしれない。2014/01/05
メガネ
16
漸く読み終わり。一般的な解釈と何が違って、どこから違ったのか。どの部分の解釈の問題なのかと不思議に。高校までの授業で、社会契約を結んで、委譲したみたいなことを習ったような気がするので、それならそんなことは書いてないと思うよと思います。一般意思や法が何を指すのかという部分で解釈が分かれるのかもしれません。2014/07/08
ガリポリ
3
昨今極めて評判が悪いルソーの主著。評判が悪いながらも、結局民主政を倫理的に肯定するには社会契約説と一般意志の考えかたしかないのかな…?という印象。第三編第四章でルソー自身が「民主政という言葉の意味を厳密に考えるならば、真の民主政は、かつて存在したことがなかったし、これからも決して存在しないだろう」と書いているように思考実験として読むべきか?また、モンテスキューの法の精神に照らし合わせても、本書に照らし合わせても現在世界で民主政を標榜している国の政体は決して民主政ではなく貴族政でしかないなという印象。2015/01/31
もっぴー
3
この、ただの論文が社会構造を変革させてしまったんだなあ。それにしても難しい。2013/07/08
じゅんすいむく
2
ルソーの描き出す政治体は本質的に民主政である。ルソーは主権は人民にあるといい、そこから演繹して、この「自分たちのことは自分たちで決める」制度の本質を描こうとする。かれは古代ローマの機構にヒントを求めるが、それは何も過去の話なんかではない。手をかえ品をかえ、この政体において必要な役割は、現代においても現出しているのだ。ルソーの書をきちんと読み批判することは、現在なにかを覆い隠しながら進んでいるかもしれない現代民主政を批判することにもつながるはずだ。2013/11/24