内容説明
死亡記事は「水原秋桜子に師事、俳誌『鶴』主宰。昭和四十四年三月、芸術選奨文部大臣賞受賞」―。昭和の俳聖といわれた波郷の、この簡潔な略歴の奥に潜む人生の襞を、その息子が代表的な八句に託して丹念にたどった力作。第二次世界大戦と不治の病という二つの苦難を背負いながら新しい俳句への情熱を抱き続けていた父の真の姿が、くつきりと、鮮やかに浮かび上がってくる。
目次
序章 今生は病む生なりき烏頭
第1章 バスを待ち大路の春をうたがはず
第2章 雁やのこるものみな美しき
第3章 たばしるや鵙叫喚す胸形変
第4章 寒雀汝も砂町に煤けしや
第5章 ひとつ咲く酒中花はわが恋椿
第6章 柿食ふや命あまさず生きよの語
終章 雪降れり時間の束の降るごとく
著者等紹介
石田修大[イシダノブオ]
1943年5月、東京生まれ。早稲田大学卒業。日本経済新聞社に入社、社会部、文化部を経て、論説委員。1999年退社(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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