出版社内容情報
地中海世界を地政学的に位置づけ、経済的な特質を析出しつつ、地中海地域に通底する世界観や基本的特徴を理解するための1冊。モザイクのように入り交じる文明圏
地中海世界は、世界宗教の揺藍の地であるとともに、複数の文明のせめぎ合いがおこなわれた地域でもある。本書は、複数の文明圏が国家を超え、社会や文化を超えてモザイクのように入り交じり、長い歴史の淘汰を経て形成された多様な文明圏としての地中海世界を理解することを目的としている。先進国と発展途上国の間の経済的、社会的な格差と相互依存、多様な民族性ゆえの繰り返される衝突や紛争、偏在する天然資源を巡る地政学的な攻防――これは南側沿岸地域では「アラブの春」として、北側沿岸地域では国家財政の破綻の危機として、大きな変動の震源地となり、いまも現代世界を揺るがし続ける。地中海世界の人々の動態やヨーロッパとアフリカの間で拡大しつつある経済、社会、文化の格差、不均質性を考慮しながら、地中海沿岸地域の現状理解を深めるための地政学的な視点を提示。
ブーシュラ・ラムゥニ・ベンヒーダ[ベンヒーダ]
(ブーシュラ・ラムゥニ・ベンヒーダ)ESCAビジネス・スクール教授としての経歴を経て、現在はハッサン第1大学教授、経営幹部教育センター(EEC)局長、また、米国のニューヨーク大学、レバノンでも客員教授。専門は地政学・地理経済学。(ヨゥン・スラウィ)ESCAビジネス・スクール教授、モロッコの民間銀行(Attijariwafa bank)のコンサルタント業務や2008年に設立されたシンクタンク(Institut Amadeus)の創設者のひとり。専門は経営戦略。
ヨゥン・スラウィ[スラウィ]
吉田 敦[ヨシダ アツシ]
千葉商科大学人間社会学部准教授、上智大学総合グローバル学部兼任講師。専門は国際経済論、資源開発、アフリカ経済。主な著訳書『国際関係論へのファーストステップ』(共著、法律文化社)『国際政治モノ語り―グローバル政治経済学入門』(共著、法律文化社)『アルジェリアを知るための62章』(共著、明石書店)『モロッコを知るための65章』(共著、明石書店)ケネス・ポメランツ、スティーブン・トピック『グローバル経済の誕生―貿易が作り変えたこの世界』(共訳、筑摩書房)。
内容説明
本書は、地中海世界の歴史、社会、生活様式、文化、そして「アラブの春」にはじまるアラブ世界での政治変動の位置づけ、資源問題から教育問題にいたる幅広いテーマを扱う。先進国と発展途上国の間の経済的・社会的な格差、多様な民族性ゆえの繰り返される衝突や紛争、偏在する天然資源を巡る攻防など、地中海沿岸地域の現状理解を深めるための地政学的な視点を提示。
目次
第1章 地中海世界の形成―分節化から地域統合へ
第2章 地中海世界の分裂と統一の歴史と地政学
第3章 地中海世界の社会、生活様式、文化―アイデンティティの危機と歩みより
第4章 アラブの春―地中海世界の論理とその位置づけ
第5章 水資源とエネルギー資源―地中海世界の挑戦と地政学的な役割
第6章 地中海世界における「ソフトパワー」の展開と国境を越えた違法薬物取引の現状
第7章 将来への展望
著者等紹介
ベンヒーダ,ブーシュラ・ラムゥニ[ベンヒーダ,ブーシュララムゥニ] [Benhida,Bouchra Rahmouni]
ESCAビジネス・スクール教授としての経歴を経て、現在はハッサン第1大学教授、経営幹部教育センター(EEC)局長、また、米国のニューヨーク大学、レバノンのカシュリーク聖霊大学(USEK)客員教授。専門は地政学・地理経済学
スラウィ,ヨゥン[スラウィ,ヨゥン] [Slaoui,Younes]
ESCAビジネス・スクール教授、モロッコの民間銀行(Attijariwafa bank)のコンサルタント業務や2008年に設立されたシンクタンク(Institut Amadeus)の創設者のひとり。専門は経営戦略
吉田敦[ヨシダアツシ]
千葉商科大学人間社会学部准教授、上智大学総合グローバル学部兼任講師。専門は国際経済論、資源開発、アフリカ経済(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。