出版社内容情報
紀元前五世紀のギリシア、アテネの最盛期を築き上げた政治家ペリクレス。雄弁家として知られるその人と時代。
内容説明
紀元前五世紀、古代ギリシア、アテネで民主主義政治をはぐくんだ。その影響は小アジア、エーゲ海の島々にまで波及する。また、科学および文学の繁栄、そして芸術振興にも力を入れた。雄弁家としても知られ、その格調高い演説は名言として今に伝わる。
目次
第1章 ペルシア戦争からアカルナイ人の抗争まで(ペリクレス時代の黎明;イオニアの反乱とペルシア戦争(前四九九~前四七九年)
アテネの覇権と諸ポリスの葛藤(前四七九~前四三一年)
いわゆるペロポネソス戦争(前四三一~前四〇四年)
前五世紀末のギリシア世界)
第2章 政治、経済、社会(アテネ、スパルタを中心とした社会構造;経済生活のいくつかの局面;前五世紀の政治制度とその発展)
第3章 知的混沌と哲学、科学、文学の隆盛(アテネを中心としたギリシア世界の思想的開花;科学の進歩;文学)
第4章 芸術的創造(古典主義的建築;古典主義的彫刻;絵画、彩色陶器、モザイク)
著者等紹介
幸田礼雅[コウダノリマサ]
1939年生まれ、1966年東京大学仏文科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Hiroshi
8
ペリクレスとは前490年に生まれたアテネの貴族。クレイステネスにより民主制度が確立したアテネはペルシア戦争を経験して民主政の良さを実感していた。エフィアルテスの改革で民主化が完成し、前460年から約30年間にわたり政治上重要な役割を果たしたのがペリクレスだ。エーゲ海を事実上支配し、パルテノン神殿を建築する等の成果を上げた。だから前5世紀中葉からその後の四半世紀をペリクレスの世紀と呼ぶのは正当だという。だが日本で例えると聖徳太子の時代を語るのであり、ギリシア史を詳しく知らない日本人にはその纏め方が難しい本。2023/07/15
ジュンジュン
5
ペリクレスと言えば、アテネの最盛期に登場した政治家にして、パルテノン神殿の建立者と教科書的なイメージしかなく、もう少し肉付けしたく本書を手に取った。ただ、内容としては、前五世紀全般を文化・芸術に力点を置きつつ概説したもの。求めていたのは「ペリクレスとその時代」だったので、若干ずれていた。2020/06/14
Saiid al-Halawi
3
「彼の民主主義は確かに覇権主義的であったが、穏健で開明的であった。というのもペリクレスはテミストクレスの思想を受け継いでいて、アテネの絶対的支配を確信してはいたが、既得権を無制限に拡大させたりせず、それを維持し、それを活用したいと考えたにすぎない」(p.74)2015/09/08
ハルバル
1
ペリクレスの活躍した5世紀ギリシャについての、やや難解な概説書(パルテノン神殿の外観比を数式で表されると、文系には辛い笑) テーマは歴史背景と政治状況、文化など多岐に渡る。内容としては個々のテーマについてはあまり深くは踏み込んでいないため、可もなく不可もなくだが、よくまとまっているなという印象。ペルシャ戦争やペロポネソス戦争に挟まれた黄金の50年期は文化も花盛りだけど、ひたすら紀元前のギリシャすげえ!と感嘆しきりである。2014/11/06