出版社内容情報
全市民が政治に関与するための身分闘争、頻繁な対外戦争、文学や建築の隆盛。王政と帝政にはさまれた特殊な500年間を解説。
内容説明
五〇〇年の長い歴史を三期にわけて解説。ローマは王政を倒し「自由な」新体制に移行する。また、覇権を賭けて多くの国と争い、揺るぎない地位を確立した。その戦争から得た莫大な富が建築ブームをもたらしたが、最後の一世紀は内乱の時代となり「自由な共和政」は終焉を迎える。
目次
序章
第1章 ローマ共和政の始まり(共和政はどのように誕生するか?;自由の見習期間;民主政の見習期間 ほか)
第2章 活力のある時代(ローマ市;行動するローマ共和政;イタリアの征服 ほか)
第3章 栄光と悲惨(これは別の国民か?;理想の共和政;不安定な均衡 ほか)
終章 共和政はどのように死んだか
著者等紹介
石川勝二[イシカワカツジ]
1940年生まれ。1970年名古屋大学大学院修了。古代ローマ史専攻。愛媛大学、椙山女学園大学教授を経て、現在、椙山女学園大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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じょあん
4
共和政ローマの通史。共和政はどのように成立したのか? どのような内容で、どう展開したのか? ローマの拡大過程はどのようなものだったのか? 権力闘争はどう推移したのか? 共和政はどのようにして終わりを迎えたのか? 原著の出た1990年代までの学説を取り入れて比較的新しい内容になっているのが良い。しかし、いかんせん訳が日本語になりきっていない。訳者はフランス語特有の長文をあえて短く区切らずに訳したと言うが、それがあだになっている。古代ローマについて一通りのことをおさえたあとでないと意味がとれない内容だろう。2022/07/19
かわかみ
3
本書を紐解くとローマは戦争につぐ戦争を続けてきたことがわかる。ローマは勝利とともに、降した敵国に君臨する帝国となっていったが、それは共和政の下であった。本村凌二氏の言葉によれば共和政ファシズムまたは共和政軍国主義であった。それはポリュビオス曰く王政・貴族制・民主政の要素をバランスよくミックスした政体ゆえに長持ちしたが、やがて繁栄と裏腹にローマ市民の階層分化が進む。グラックス兄弟の改革も頓挫、カエサルが共和政にとどめを刺し、オクタビアヌスが共和政を再興する素振りを見せながら、それをミイラ化したとする。2024/01/06
刳森伸一
3
タイトル通りローマ共和政時代の解説書なのだが、中級者で大まかな歴史を予め知っておかないと厳しい内容だと思う。かく言う私もところどころ作者の飛躍についていけない・・・2015/02/16
サピエントゥス男爵
1
共和政の歴史を、その事象と原因の説明を簡潔に纏めた著書。90年代時点の最新の研究成果も組み込まれている。本著では、事実の羅列だけでなく、ローマ共和政とはどのような制度か、ローマは如何に最強国になりえたか、共和政はどの様に崩壊の道に辿ったか、帝国主義、格差、身分制、食料問題、宗教等、特殊的又は普遍的問題についても論及している。但し、コンパクトとは言え、日本人にとって入門書ではない。翻訳の稚拙さも散見し、幾つかの間違いも見過ごせない。原著が良書であるだけに勿体ない。訳稿を一度専門家に通読してもらって頂きたい。2020/07/27
MonsieurACT
1
150頁ほどに共和政ローマの長い歴史を過不足なく凝縮した好著。但し専門用語の解説がないという点、或いは原著の多少の難解さをそのまま翻訳に反映させてしまっているという点で通読にはそれなりの時間を要してしまうかもしれない。