出版社内容情報
ヨーロッパにおけるユダヤ人の集団抹殺。該当者の特定、資産没収、監禁など、その<最終的解決>の経緯をたどる。
内容説明
一九三九年~一九四五年の時期、ドイツは六〇〇万人にもおよぶヨーロッパのユダヤ人を殺戮した。ユダヤ民族を地上から「絶滅させる」との決断に至った過程、その実現に向けた緻密な計画の詳細を時系列に並べながら解説。どうしてこの悲惨な出来事を止められなかったかについても言及。
目次
第1章 ヨーロッパ大陸のユダヤ人―拒絶と同化のはざまで
第2章 一九三三年から一九三九年までのドイツ―合法的な排斥
第3章 混乱を極めた政策(一九三九~一九四一年)
第4章 最終的解決
第5章 世界が沈黙するなかでの抵抗
第6章 総括の時
著者等紹介
吉田恒雄[ヨシダツネオ]
1947年、千葉県生まれ。長い会社勤務の後、現在は翻訳に専念(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sankichineko
13
ショアー(ユダヤ人集団殺戮)は1933年、市民としてユダヤ人の地位を認めていた根拠法の廃止に始まった。1938年のエヴィアン会議では、どの国もユダヤ人難民をほとんど受け入れようとしなかった。1941年以降、明らかに大規模な殺戮が行われていると気がついてからも、ドイツの工場は攻撃しても強制収容所は放置した。赤十字や永世中立国スイスもユダヤ人を見捨てた。最初の法改正の段階で国際社会が声をあげず黙認したことで、最終的には600万人の犠牲者を出すことになったのだろう。世界がユダヤ人を見捨てたのだ。2019/05/30
Sakana
5
現在問題になっているドイツにおける難民の受け入れについて、様々な国が第二次世界大戦時にユダヤ人難民の受け入れを積極的にしてくれたから、今回はドイツが頑張るのだ!というような言説を目にしたことがある。しかし、本書を読んで分かったのだが、実際はスイスにしろ、イギリス・アメリカにしろ、難民の受け入れに積極的であった訳ではなさそうである。ならば何故「ユダヤ人難民の受け入れがされた」ていで話されてしまうのだろう。その文脈における政治的意志はなにか。「難民を受け入れる」ということはどういうことなのだろう・・・。2015/11/01
ぼけみあん@ARIA6人娘さんが好き
2
書店で見かけて。少ないページでホロコーストの歴史が手際よくまとめられている。教科書的な記述なので、中々頭に入ってこないきらいがあるけど、類書では書かれていない(殆ど読んだことがなかった)部分もあった。諸外国の戦中の対処や戦後処理などがかなり詳しく書かれてあって、特に後半は勉強になった。今後、各事件などを詳細に論じた本を読むための手引きとして繙くのもよいかも知れない。2014/10/03
うーちゃん
0
訳は生硬でところどころ誤植もあるが、内容の凄まじさは圧倒的。太平洋戦争での日本軍の蛮行も、ナチスドイツのユダヤ人根絶やし作戦に比べれば児戯と思えてくる。ナチスはともかく、それを支える官僚機構やドイツのさまざまな産業が「最終解決」に向けて緻密に動いていくところが恐ろしい。しかも、ユダヤ人への偏見のため、英米、さらに国際赤十字やローマ教皇までがドイツの勢力圏から逃げようとする難民をほとんど受け入れようとしない。まさに袋のネズミとなり、600万の命が奪われていった。2013/11/03
ライラック
0
いつ、どこで、どうやって、何万人位の人間が虐殺されたのか具体的に書かれているのでだいぶ読むのがしんどいです。ショアーの犠牲者が約600万人。すべての難民を受け入れるのは物理的に困難という理屈なのでしょうが、虐殺の報告があがっていたのならもう少しなんとかできなかったのでしょうか。ナチスも最初はマダガスカル島に追放するつもりだったのは意外でした。それでもたいがいですが。2024/03/27