出版社内容情報
これまでなかった「ラカン思想」の後期を含めた網羅的な解説本。当時の思想的な争点や行動も記し、思想の変遷がわかる。
内容説明
フロイトを読み解く背景から生まれた理論「シェーマ」や「グラフ」。その解説にこだわりすぎることなく、ラカンが立ち向かった問題とそのときの思考に重点が置かれている。また、彼が取った行動を示すことで「ラカン思想」の変遷がわかる。日本ではまだ紹介されていない後期を含めた網羅的な入門書。
目次
第1部 想像界、象徴界、現実界の基礎(鏡像段階から想像界へ;シニフィアンの理論;父の名から象徴界へ;現実界とその機能)
第2部 ラカンのマテシス。他者、対象、欲望(他者の姿;対象の力;主体の機能)
第3部 分析的行為とマテーム。構造と症状(神経症、精神病、倒錯;分析の終わりと、「分析家の欲望」;メタ心理学からマテームへ:分析の記述;「ラカン思想」とその争点)
著者等紹介
西尾彰泰[ニシオアキヒロ]
1972年生まれ。1997年愛媛大学医学部卒業。2000年エクス・マルセイユ第二大学にて臨床研修医として勤務する。2001年パリ第七大学精神分析学部博士課程に入学。2003年より岐阜大学附属病院、松蔭病院などを経て、岐阜大学保健管理センター准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
袖崎いたる
11
ラカンの言葉でいえば「辞‐元」(フランス語での読みは「ディ‐メンション」、日本語でも「次元」と同じ読みで表記可能となっている訳。おもしろい!)は、読む際の読まれる文字の他者性においても現れてる。即ち、読者が読む際の読まれる側の読み方の借用という仕方で。しかしそれはうまくいかない。とりわけラカンのエクリチュールに顕著。本書ではラカンのそうした難解さを彼のセミネールを追跡して矯正を試みてる。しかし誤字脱字が鬱陶しくて参った。だものだから「良い乳の名のもとで」なんて文章がきたら「良い父」の間違いかと混乱したり。2016/08/19
なっぢ@断捨離実行中
6
170ページとコンパクトながら、前期から後期にかけての主要概念を一通り抑えた概説書。そのソリッドさゆえ、ラカンにある程度触れておかないとワケわかな可能性もある諸刃の剣。松卓書では神経症/精神病の鑑別判断が議論の中心になっていたが、本書(八章)では倒錯が第三の構造に加わっている。現代ラカン派ではマルクスとの接続もあり、そちらが焦点になってるので、はよ後期ラカンの概説書出せやこの野郎と言いたいところだが、後期のセミネールは邦訳はおろか正式な刊行すらないそうで。ラカン思想の全貌は依然ベールに包まれたまま。2017/05/30
水菜
6
わからん…見事なまでにわからん。ラカンの解説書、入門書なのだが、解説書の解説書、入門書の入門書が欲しいところ。なぜこんなにわからないのか…2014/04/26
Z
4
同じ。2018/02/14
にゃんみこりん
4
ラカンの本を読んだら感想を書こう。読んだら感想を書こう。よんだらかんそうを。よんだラカンそう。ラカン葬。ラカンが出てくる本が読めるようになったが、それぞれの本でラカンの解釈が異なる点は自己解決しなければならない。他のラカンの解説書よりも応用がきくので、現状最も信頼できるラカン解説本はこれ。ラカンを扱ったトンデモ本への特効薬にもなるので、ラカン入門にもどうぞ。すべてのラカンの引用が、この本によって説明されることはありえないが、手がかりにはなるので、手元に置いておくには良い。借りて読むタイプの本ではない。2013/05/10