エクス・リブリス・クラシックス
不機嫌な女たち―キャサリン・マンスフィールド傑作短篇集

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  • サイズ B6判/ページ数 240p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560099100
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

出版社内容情報

期待と落胆、安堵と不安……感情の揺れをとらえ日常に潜む皮肉を抉り出す日本オリジナル短篇集。新発見原稿「ささやかな過去」収録。V・ウルフも嫉妬した短篇の名手の傑作13篇
 初めて夫に欲望を感じた直後に、妻が夫の本心を知る「幸福」。不慣れな外国で家庭教師が出会った親切な老人との楽しい午後はやがて……「小さな家庭教師」。不穏なお迎えが来て老女を怯えさせる「まちがえられた家」。裕福な女が、施しを与えた貧しい女に対し、夫の何気ない一言から嫉妬の炎を燃やす「一杯のお茶」。夫の友人の熱情を弄ぶ人妻を描く「燃え立つ炎」。小さな幸せを、思わぬ言葉で粉々に打ち砕かれる独身女性「ミス・ブリル」。大人社会そっくりの歪んだ人間関係にからめとられた少女たちの「人形の家」……。女たちはいつだって、喜びと哀しみ、期待と落胆、安堵と不安の間を揺れている。
 「外科医のメスの繊細さ」で「些細な出来事によって人生の重大事に迫る」と評される短篇の名手、キャサリン・マンスフィールド。交流のあったヴァージニア・ウルフも「私のライバル」と最大級の賛辞を贈っている。
 本書は日常に潜む皮肉を鋭く抉り出す鮮烈な13篇を厳選した日本オリジナル短篇集。2012年にロンドン大学で新たに発見され、自伝的要素が濃いとされる未発表原稿「ささやかな過去」も収録。

キャサリン・マンスフィールド[マンスフィールド]
ニュージーランド出身の作家。1888年、ニュージーランドの首都ウェリントンの裕福な家庭に生まれる。1903年にロンドンのクイーンズ・カレッジに留学。06年に帰郷し、プロのチェリストを志すが、父親の反対で断念。偏狭で保守的な生活に閉塞感を覚え、二年後に再びロンドンへ。11年、第一短篇集『ドイツの宿にて』 を出版、後に夫となるジョン・ミドルトン・マリと出会う。ロンドンの文芸サークルでD・H・ロレンス、ヴァージニア・ウルフらと親交を結ぶ。18年に喀血して以降、欧州の保養地を転々とする。20年の短篇集『幸福』は評論家の絶賛を浴びた。続く短篇集『ガーデン・パーティ』(22年)も高く評価され、収録作「ミス・ブリル」によって、モダニズム時代の極めて優れた作家と見なされた。23年、パリ郊外のフォンテーヌブローの療養所で、結核のため34歳で逝去。主な既訳:『マンスフィールド短篇集』(ちくま文庫)、『マンスフィールド短編集』(新潮文庫)、『マンスフィールド短篇集??幸福・園遊会 他十七篇』(岩波文庫)、『マンスフィールド全集』(新水社)

芹澤 恵[セリザワ メグミ]
成蹊大学文学部卒業。英米文学翻訳家。主な訳書にR・D・ウィングフィールド「フロスト」警部シリーズ、ケヴィン・ウィルソン『地球の中心までトンネルを掘る』(東京創元社)、O・ヘンリー『1ドルの価値/賢者の贈り物 他21編』、ジェイムズ・サーバー『傍迷惑な人々』(光文社)、メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』(新潮社)、デイナ・ヘインズ『クラッシャーズ 墜落事故調査班』(文藝春秋)、『密林の夢』(早川書房)など。

内容説明

初めて夫に欲望を感じた妻が夫の本心を知る「幸福」。不慣れな外国で出会った親切な老人との午後の行方は…「小さな家庭教師」。不穏なお迎えが老女を怯えさせる「まちがえられた家」。裕福な女が夫の一言で、貧しい女に嫉妬の炎を燃やす「一杯のお茶」。夫の友人の熱情を弄ぶ人妻を描く「燃え立つ炎」。小さな幸せを、思わぬ言葉で打ち砕かれる独身女性「ミス・ブリル」。大人社会そっくりの歪んだ人間関係にからめとられた少女たちの「人形の家」など、選りすぐりの十三篇。感情の揺れを繊細にすくいとり、日常に潜む皮肉を鋭く抉り出す、短篇の名手キャサリン・マンスフィールドの日本オリジナル短篇集。新たに発見された未発表原稿「ささやかな過去」収録。

著者等紹介

マンスフィールド,キャサリン[マンスフィールド,キャサリン] [Mansfield,Katherine]
1888‐1923。ニュージーランドの首都ウェリントンの裕福な家庭に生まれる。1903年にロンドンのクイーンズ・カレッジに留学。06年に帰郷し、プロのチェリストを志すが、父親の反対で断念。二年後に再びロンドンへ。11年、第一短篇集『ドイツの宿にて』を出版、のちに夫となるジョン・ミドルトン・マリと出会う。ロンドンの文芸サークルでD・H・ロレンス、ヴァージニア・ウルフらと親交を結ぶ。18年に喀血して以降、欧州の保養地を転々とする

芹澤恵[セリザワメグミ]
成蹊大学文学部卒業。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

143
マンスフィールドの短編集。不機嫌なだけの女は幸せだけれど、ここには思わず不幸な体験をしてしまう女たちが多い。それも、経験不足とそそっかしさが原因で。神様、どうか傷付きやすい彼女たちを見守ってあげてと祈りたくなる。1番好きなのは「ガーデンパーティー」彼女の心はなぜ深く傷つかなければならなかったのだろう。彼女の罪は何?思い上がりや無知が原因ではないだろうに。そんな少女を心配し支えようとする兄の優しさが、彼女に降りかかる視線の矢を、甘ったるい優しい雨に変えたように思えた。ビターチョコのような後味の短編たち。2017/07/12

ehirano1

80
「不機嫌な女」がテーマとのこと。「見知らぬ人」が印象的でした。不機嫌と言えば不機嫌なんでしょうが、『不機嫌とそこに至る要因の間の何か』が描かれたように思いました。一方で、不機嫌な女性に限らず、不機嫌な方はそっとしておくのが一番のように思いますが、「見知らぬ人」の場合は久方ぶりの夫婦の再開ですからね、そういうわけにはいきませんよ。なんだか気の毒だなぁ・・・・・。2023/06/09

星落秋風五丈原

68
ある日浴室に入っていた女性は、「自分が死んだらこんな感じなのかしらね…」などと夢想する。しかし実際に家の前に柩が来た時には、全力で「間違いだから!」と拒否。『間違えられた家The Wrong House』はこんな話。人は簡単に上機嫌から不機嫌になり、またその逆もしかり。そしてキャサリン・マンスフィールドは、彼や彼女を、決して上機嫌のままにはしておいてくれないのだ。「不機嫌でいても仕方ない。だから気を取り直して前に向かって行きましょう!」 キャサリン・マンスフィールドは、そんな事は一つも言ってくれない。2017/05/04

syaori

53
何とも苦くて魅力的な短編集。20世紀初めの英国女性、彼女たちの日常を切り取って、少し皮肉な視線でその心の動きや言葉にならない感情にまで触れたように思わせる作者の繊細な筆に脱帽です。互いのことを完璧に理解しあったと感じた次の瞬間に実は相手のことも、そして夫のことも何も知らなかったのだと気付かされる『幸福』、視点の転換で幸福な午後をすごす老婦人の孤独を暴く『ミス・ブリル』、『船の旅』は特に好き。微妙な年齢の少女のもどかしさを第三者の目で描く『若い娘』は、自分のそんな時代が思い出されて身悶えしそうになりました。2017/09/22

miyu

48
不機嫌というより不愉快な女性たちの物語だった。以前別の出版社の「ガーデン・パーティー」を読んだ時(すごく前・若かりし頃)は好感を持った記憶がある。特にラストの兄妹の言葉少ない会話の中に人のやるせなさとか一筋縄ではいかない複雑さを感じて余韻が残った。しかし今回はどの話も「えらく巧いな」とは感じたが読了後には何も残らなかった。感性が鈍くなったのか好みが変わったのか定かではない。敬愛する読み友様方どなたもがこの短篇集を推していたので、読む前に期待値が高くなりすぎたのかもしれない。ウルフの方が私にはやはり合う。2017/10/09

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