出版社内容情報
初めてのアジア通史!
王国から共和国まで、権威主義体制から自由民主主義体制まで、多様なアジアの近現代史を統一的に描くことは果たして可能なのだろうか?
本書は、「脱植民化」、とりわけ第二次世界大戦前後の1940年代から50年代に注目して、この問いに鮮やかに答えている。
というのも、この時期にできあがった権力関係の布置が現在の政治体制に重要な影響を及ぼす「起源」となっているからである。
本書がとくに心血を注いだのは、脱植民地化を果たしたアジア諸国でなぜ一部の国は民主化し、他は種々の独裁体制となったのか、ということである。
鍵となるのは、植民地期末期の「制度と運動」である。まず、制度としては自治制度と王室の二つを、また運動としては武装闘争をともなう急進的なものと非武装の穏健なものの二つを、独立前後の政治変動に影響する重要な要因と位置づける。
そして、これらの制度の存否と運動の強弱の組み合わせから、四種のリーダー集団を導き出し、独立後の体制類型を解明するのだ。
これまで多様に見えたアジアの近現代史は、この方法により初めて統一的な視野に収められる。比較政治学の記念碑的著作!
内容説明
脱植民地化後に形成された政治体制が、なぜ一部では民主制になり、ほかではさまざまなタイプの独裁になったのか。一七ヵ国・地域を横一線で比較する。
目次
アジアの政治体制形成論―制度と運動を中心に
第1部 民主制の起源(日本―戦前の政治エリートと戦後の民主主義;インドネシア―独立運動の競争性と脆弱な民主制の誕生;マレーシア―宗主国に守られたエリートによる独立;フィリピン―独立と民主主義の歴史的起源;ビルマ―急進派が選択した議会制民主主義 ほか)
第2部 独裁の起源(韓国―「民主主義」を掲げる独裁の成立;北朝鮮―金日成体制確立の初期過程;台湾―国民党一党支配体制の成立;中国―共産党と国家建設;タイ―文民統治の蹉跌と寡頭支配の復活 ほか)
著者等紹介
粕谷祐子[カスヤユウコ]
1968年生まれ。1991年、慶應義塾大学法学部政治学科卒業。1996年、東京大学法学政治学研究科博士課程単位取得退学、2005年、カリフォルニア大学サンディエゴ校で博士号取得。現在、慶應義塾大学法学部政治学科教授。専門は比較政治学、政治体制変動論、政治制度論、東南アジア政治(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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