出版社内容情報
撮影行為のアルケオロジー
ナチ収容所では、囚人たち自らが秘密の写真撮影に成功していた──はたして、それらの写真はどのように見るべきか? ドキュメンタリー映像作家でもある著者は、囚人たちが命がけで隠し撮りした秘密写真を手がかりとして、それら秘密写真が撮影された現場(アウシュヴィッツ=ビルケナウ、ブーヘンヴァルト、ダッハウ、ミッテルバウ=ドーラ、ラーフェンスブリュック)に赴く。そしてマニアックなまでの正確さで場所や時刻、シャッターが切られた瞬間を探しもとめ、写真を凝視し、撮影者や被写体について掘り下げ、細部を浮かび上がらせてゆく。
本書は、カルロ・ギンズブルグのミクロストリアの手法さながらに、ホロコーストの歴史を“無修正で”物語ることにより記憶と歴史の関係を問い直す。そしてそれは同時に、スーザン・ソンタグやロラン・バルトの写真論、クロード・ランズマンやディディ=ユベールマンらによるイメージ論を更新する「撮影行為の考古学」でもある。アネット・ヴィエヴィオルカが本書序文で「鮮烈なほど革新的な書」と称える所以だ。
『夜と霧』や『ショア』の記憶を確かめるため、未公開資料も参照しつつ5つの収容所を実地調査した、戦慄の「写真論」。
内容説明
撮影行為のアルケオロジー。ナチ強制収容所の囚人たちによる命がけの「隠し撮り」を手がかりに、ホロコーストの歴史を無修正で物語る、革新的なミクロストリア研究。『夜と霧』や『ショア』の記憶を確かめるため、5つの収容所を実地調査した、戦慄の「写真論」。
目次
序章 収容所開放
第1章 強制収容所の世界―収容所の眺望、風景、肖像写真、自画像(ブーヘンヴァルト、ミッテルバウ=ドーラ、ダッハウ)(一枚目の写真;修整;トラウマ ほか)
第2章 生体実験―ポートレート、ディテール(ラーヴェンスブリュック)(五枚の写真;生体実験;二枚の写真:マリア・クシミエルチュク ほか)
第3章 処刑地帯―スナップショット(ビルケナウ)(語彙;一枚目の写真;二枚目の写真 ほか)
終章 遺言追加書
著者等紹介
コニェ,クリストフ[コニェ,クリストフ] [Cognet,Christophe]
ドキュメンタリー映像作家、脚本家。1966年、マルセイユ生まれ。パリ第三大学で映画学を修める。映像作品としては1994年の『天才たちの声』をはじめ、主としてドキュメンタリー映画が十数本ある。『私は画家だったから』は、2014年にラ・ロシェルのドキュメンタリー・フェスティバルでグランプリを受賞し、他の六本も各地の国際フェスティバルでノミネートされている
宇京〓三[ウキョウライゾウ]
1945年生まれ。三重大学名誉教授。フランス文学・独仏文化論(アルザス)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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owl&shepherd
圓子
CHRONO
Masako3
takao