出版社内容情報
野村喜和夫〔著〕 朝岡英輔〔写真〕 小島ケイタニーラブ〔音楽〕
東京をひた歩く詩人がCOVID-19に促されて描き出す、
摂理と思念が渾然となったこのあるがままの現実は、つまり異界だ。
そうか、われわれが経験した(今もしている)状況/世界とは、
こうしたものだったのか! --岡田利規氏
コロナ禍のなかで、生きた証を刻む
詩人・野村喜和夫が、コロナ禍のなか、生存を脅かされる恐怖にさいなまれ、旧約の大洪水にも比すべきカタストロフィーを感じつつ、生きた証を刻む。言葉と写真とピアノ曲との斬新なコラボレーション。
「おまえはおまえの不安を駆れ」という声が内心に響き始めた野村は、不安を紛らわすために散歩を始めた。新型コロナウイルスが〈パンデミック〉に相当するとWHOが発表した三月を起点とし、緊急事態宣言の発令を経て、解除されるまでの間に、自宅のある世田谷周辺をおろおろと歩き回りながら、存在の根源を凝視し深い思索をめぐらす。状況は刻々と変わり、心情も揺れ動く。人間を死に至らしめる未知のウィルスに遭遇した時の動揺と衝撃、ウィルスと向き合った詩人の内的変化が、イメージを伴って綴られていく。そして感動的な結末を迎える――。
コロナ禍は続くが〝最初の衝撃〟は二度と訪れない。その貴重な記録として緊急出版する。
巻末に、創作の背景を記した「花冠日乗ノート」を収録。
ピアノ曲は、ページのQRコードから全曲お聴きいただけます。
内容説明
詩人・野村喜和夫が、コロナ禍のなか、生存を脅かされる恐怖にさいなまれ、旧約の大洪水にも比すべきカタストロフィーを感じつつ、生きた証を刻む。言葉と写真とピアノ曲との斬新なコラボ。
目次
1 未知の波涛
2 青い花ネモフィラ
3 岩石は笑う
4 音声の腐葉土
5 とりどりのDEAD HEAD
6 空隙がふえる
7 軟禁ラプソディ
8 光年の雫
9 さまよひの街のわたくしは
10 青よ渡れ
11 非馥郁と
12 ヒヤシンスの紫
著者等紹介
野村喜和夫[ノムラキワオ]
1951年、埼玉県出身。早稲田大学第一文学部日本文学科卒業。戦後世代を代表する詩人のひとり。小説・批評・翻訳なども手がける。詩集『特性のない陽のもとに』(思潮社)で歴程新鋭賞、『風の配分』(水声社)で高見順賞、『ニューインスピレーション』(書肆山田)で現代詩花椿賞、『ヌードな日』(思潮社)および『難解な自転車』(書肆山田)で藤村記念歴程賞、『薄明のサウダージ』(書肆山田)で現代詩人賞、評論『移動と律動と眩暈と』(書肆山田)および『萩原朔太郎』(中央公論新社)で鮎川信夫賞、英訳選詩集Spectacle&Pigsty(Omnidawn)で2012 Best Translated Book Award in Poetry(USA)を受賞。2020年度から東大駒場の表象文化論コースで詩を講じている
朝岡英輔[アサオカエイスケ]
1980年、大阪府生まれ。埼玉県出身。中央大学理工学部物理学科卒業。松涛スタジオ勤務、写真家・藤代冥砂のアシスタントを経て独立
小島ケイタニーラブ[コジマケイタニーラブ]
1980年、静岡県浜松市出身。早稲田大学第一文学部卒業。13年から、温又柔とともに朗読と演奏のコラボレーションpontoを開始したほか、江國香織やよしもとばななの作品に音楽をつけるなど文学の領域でも多彩な活動を展開(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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