出版社内容情報
ホロコーストの悪名高い主犯の生涯。最新研究を踏まえ、「ユダヤ人絶滅政策」を急進的に推進した男の素顔に迫る。解説=増田好純ホロコーストの悪名高い主犯の生涯
トーマス・マンに「絞首人」と呼ばれ、「ユダヤ人絶滅政策」を急進的に推し進めた、ラインハルト・ハイドリヒの素顔に迫る、初の本格的な評伝。戦間期と第二次大戦に至る欧州史の概観の中で、「絞首人」の軌跡を追い、ナチの人種政策、東欧占領政策の形成と展開、ナチ支配体制内部の陰湿な抗争、国防軍との競合も精細に描かれる。
ハイドリヒは1942年、在英チェコ亡命政府と英国が送り込んだ工作チームによってプラハ郊外で暗殺される。ベルリンでの大々的な葬儀で、ヒトラーは故人を称えたが、チェコ全土には戒厳令が敷かれ、レジスタンスや民間人にも残忍な報復が行われた……。本書はその死から始め、誕生まで遡って、38年の短い人生と家族関係、政治警察を一手に掌握して行われた、工作、迫害、虐殺の実態を活写する。ハイドリヒは晩年、ベルリン郊外のヴァンゼーで会議を主催し、「ユダヤ人問題」への対応をいっそう激化させる。ヒムラーと共に、ホロコーストの悪名高い主犯ともいうべき存在なのだ。
本書は最新研究を踏まえつつ、読みやすく描かれた、ドイツ現代史の俊才による大著。解説=増田好純。
ロベルト・ゲルヴァルト[ゲルヴァルト]
1976年ドイツ・ベルリン生まれ。ドイツ近現代史専攻。フンボルト大学、オックスフォード大学などで学び、現在アイルランド国立大学ダブリン校の現代史の教授。同大学の戦争研究センターのセンター長。これまでの著作に、『ビスマルクの神話』The Bismarck Myth (オックスフォード大学出版局、2005年。優れた近現代史研究に贈られるフランケル賞受賞) 、ドナルド・ブロクサムの共編『二十世紀ヨーロッパにおける政治的暴力』Political Violence in Twentieth-Century Europe (ケンブリッジ大学出版局、 2011年)などがある。欧米のナチズム研究者の中では主流に属し、2008年3月にはアイルランドのRT?テレビでホロコースト否定論者として名高いデーヴィッド・アーヴィングと論戦を交わしている(その模様はYouTubeで視聴できる)。
宮下 嶺夫[ミヤシタ ミネオ]
翻訳家。ロアルド・ダールなど児童書ほか、フレデリック・ケンプ『ベルリン危機1961』(白水社)、P・プレストン『スペイン内戦 包囲された共和国』(明石書店)ほか、現代史の訳書も多い。
内容説明
ホロコーストの悪名高い主犯の生涯―トーマス・マンに「絞首人」と呼ばれ、「ユダヤ人絶滅政策」を急進的に推進した男の素顔に迫る。最新研究を踏まえた、初の本格的な評伝。
目次
第1章 プラハに死す
第2章 若きラインハルト
第3章 ハイドリヒの誕生
第4章 帝国の敵と戦う
第5章 戦争のリハーサル
第6章 大量殺戮の実験
第7章 世界を敵として
第8章 保護領の支配者
第9章 破壊の遺産
著者等紹介
ゲルヴァルト,ロベルト[ゲルヴァルト,ロベルト] [Gerwarth,Robert]
1976年生まれ。ドイツ人の歴史家。冷戦期のベルリンで生まれ、13歳で壁の崩壊を目撃する。フンボルト大学、オックスフォード大学で学び、現在ユニヴァーシティ・カレッジ・ダブリン(UCD)の現代史の教授、同大学戦争研究センター長。主要著作に、優れた近現代史研究に贈られるフレンケル賞を受賞した『ビスマルクの神話』The Bismarck Myth(オックスフォード大学出版局)がある
宮下嶺夫[ミヤシタミネオ]
1934年京都市生まれ。慶応義塾大学文学部卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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