ヒトラーの絞首人 ハイドリヒ

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  • サイズ B6判/ページ数 460,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560095218
  • NDC分類 289.3
  • Cコード C0022

出版社内容情報

ホロコーストの悪名高い主犯の生涯。最新研究を踏まえ、「ユダヤ人絶滅政策」を急進的に推進した男の素顔に迫る。解説=増田好純ホロコーストの悪名高い主犯の生涯
 トーマス・マンに「絞首人」と呼ばれ、「ユダヤ人絶滅政策」を急進的に推し進めた、ラインハルト・ハイドリヒの素顔に迫る、初の本格的な評伝。戦間期と第二次大戦に至る欧州史の概観の中で、「絞首人」の軌跡を追い、ナチの人種政策、東欧占領政策の形成と展開、ナチ支配体制内部の陰湿な抗争、国防軍との競合も精細に描かれる。
 ハイドリヒは1942年、在英チェコ亡命政府と英国が送り込んだ工作チームによってプラハ郊外で暗殺される。ベルリンでの大々的な葬儀で、ヒトラーは故人を称えたが、チェコ全土には戒厳令が敷かれ、レジスタンスや民間人にも残忍な報復が行われた……。本書はその死から始め、誕生まで遡って、38年の短い人生と家族関係、政治警察を一手に掌握して行われた、工作、迫害、虐殺の実態を活写する。ハイドリヒは晩年、ベルリン郊外のヴァンゼーで会議を主催し、「ユダヤ人問題」への対応をいっそう激化させる。ヒムラーと共に、ホロコーストの悪名高い主犯ともいうべき存在なのだ。
 本書は最新研究を踏まえつつ、読みやすく描かれた、ドイツ現代史の俊才による大著。解説=増田好純。

ロベルト・ゲルヴァルト[ゲルヴァルト]
1976年ドイツ・ベルリン生まれ。ドイツ近現代史専攻。フンボルト大学、オックスフォード大学などで学び、現在アイルランド国立大学ダブリン校の現代史の教授。同大学の戦争研究センターのセンター長。これまでの著作に、『ビスマルクの神話』The Bismarck Myth (オックスフォード大学出版局、2005年。優れた近現代史研究に贈られるフランケル賞受賞) 、ドナルド・ブロクサムの共編『二十世紀ヨーロッパにおける政治的暴力』Political Violence in Twentieth-Century Europe (ケンブリッジ大学出版局、 2011年)などがある。欧米のナチズム研究者の中では主流に属し、2008年3月にはアイルランドのRT?テレビでホロコースト否定論者として名高いデーヴィッド・アーヴィングと論戦を交わしている(その模様はYouTubeで視聴できる)。

宮下 嶺夫[ミヤシタ ミネオ]
翻訳家。ロアルド・ダールなど児童書ほか、フレデリック・ケンプ『ベルリン危機1961』(白水社)、P・プレストン『スペイン内戦 包囲された共和国』(明石書店)ほか、現代史の訳書も多い。

内容説明

ホロコーストの悪名高い主犯の生涯―トーマス・マンに「絞首人」と呼ばれ、「ユダヤ人絶滅政策」を急進的に推進した男の素顔に迫る。最新研究を踏まえた、初の本格的な評伝。

目次

第1章 プラハに死す
第2章 若きラインハルト
第3章 ハイドリヒの誕生
第4章 帝国の敵と戦う
第5章 戦争のリハーサル
第6章 大量殺戮の実験
第7章 世界を敵として
第8章 保護領の支配者
第9章 破壊の遺産

著者等紹介

ゲルヴァルト,ロベルト[ゲルヴァルト,ロベルト] [Gerwarth,Robert]
1976年生まれ。ドイツ人の歴史家。冷戦期のベルリンで生まれ、13歳で壁の崩壊を目撃する。フンボルト大学、オックスフォード大学で学び、現在ユニヴァーシティ・カレッジ・ダブリン(UCD)の現代史の教授、同大学戦争研究センター長。主要著作に、優れた近現代史研究に贈られるフレンケル賞を受賞した『ビスマルクの神話』The Bismarck Myth(オックスフォード大学出版局)がある

宮下嶺夫[ミヤシタミネオ]
1934年京都市生まれ。慶応義塾大学文学部卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

星落秋風五丈原

47
戦後七十年経ち、戦争を知らない人達はヒトラーやその部下達を「ナチスドイツ」という一つのカテゴリーに入れて見る傾向がある。しかし、それでは、彼等がどのような人物であったかが曖昧になる。「見たくない」「知りたくない」と嫌悪感を抱くのは当然だが、おそらく人は見なくなれば、あるいは聞かなくなれば、忘れていく。そして時が経つと「なぜ悪なのか」という理由を真っ先に忘れてしまう。だからこそ「知る」事に意味がある。ヒトラーがプロパガンダの天才のように言われるがプロパガンダは第一次大戦の時から始まっていた。2017/01/04

ケイトKATE

10
ホロコーストの首謀者として悪名高いハイドリヒの伝記。本書を読んで驚いたのは、ハイドリヒがナチズムに心酔するようなったのが、1930年26歳の時であったことである。それまでハイドリヒは裕福な音楽家の家庭で育ち、政治に無関心であった。きっかけはヒトラー信奉者であった妻リナと出会ったことと、女性問題で将来を嘱望されていた海軍を追放されたことである。当時、大恐慌で職がないことは喫緊の問題だった。ハイドリヒは知り合いの紹介でナチスに入党。ヒムラーと出会い親衛隊に所属した。2019/04/22

にしの

8
悪のカリスマとして色々な創作に現れる親衛隊の男。それさえ彼が演出した虚像であるから、世界は今も彼に踊らされているのではないか。この恐ろしい数の死人に満ちた伝記で描かれる彼は、機会主義的でイデオロギーの実化に秀でた傲慢な男である。この男の一生はヒトラーやヒムラーの妄想次元の人種イデオロギーを仕事で実践し、暗殺に倒れた。彼の死をユダヤ人殺戮の加速装置となった。死んだ人間は時に生きた人間よりも害をなし、スターリンが大テロルに暗殺されたキーロフを利用した事実と被る。歴史のかなり嫌な部分だが、読むに値する一冊。2023/01/26

ルナティック

6
面白いネェ。視点が新しい。生まれながらの悪魔はいないのだから。ハイドリヒについての新たな視点が数々あり、嬉しい。ハイドリヒをテーマとしているが、中身は丸ごと行政報告風(笑)ハイドリヒ自身を追う手法として。彼が「成し遂げたこと」「成し遂げようとしたこと」から見ている。といっても時々出てくる実家や妻子、または側近の人物描写を加味して迫っている。う~ん、ハイドリヒの人間関係や業績(特にチェコ関連)知識無いとちょっとツライかも。とにかく、実行できる人だったのだなって分かったことは儲けもの。私生活少な目もGood!2017/02/13

ソノダケン

6
水晶の夜事件にハイドリヒは驚愕する。ドイツ民衆の多くが、ユダヤ人に対する差別と強制的移住に賛成でも、殺害や財産の破壊や略奪には反対だと、調査で知っていたから。あきらかにやりすぎだった。ハイドリヒの「秩序ある移送計画」は大いに狂わされる。だが事件後ユダヤ人の出国が急増したのは、計画の後押しになった。だれもがバスに乗り遅れまいと必死なこの時代の、尻に火がついてる感じ、本当に嫌だなあ。2017/01/16

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