ヒトラーの元帥マンシュタイン〈上〉

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  • サイズ B6判/ページ数 422,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560095188
  • NDC分類 289.3
  • Cコード C0022

出版社内容情報

「名将」の光と影、実像に迫る評伝。英国陸軍少将の著者が新史料や私文書を渉猟し、栄光と挫折の生涯を精彩に描く。地図・写真収録。「名将」の栄光と挫折の生涯を描く評伝
 マンシュタインは第二次世界大戦のドイツ軍の「名将」として知られる。名家に生まれ、第一次世界大戦に従軍し、やがて参謀将校として頭角を現し、エリート街道を進む。ヒトラーが権力を掌握し、彼に仕えてフランスを電撃的に打ち破り、降伏に追いやる。独ソ戦ではレニングラードに猛進、またセヴァストポリを陥落させるなど、多大なる戦果をあげる。しかしマンシュタインは、スターリングラードを死守せよとするヒトラーと対立し、解任される。失意のマンシュタインは、戦後、戦犯裁判の訴追という窮境に追い込まれる。マンシュタインは指揮下の部隊が戦争犯罪を行うのを止めず、責任を問われたのだ。すべての訴因について有罪ではなかったものの、禁錮刑に処せられる……。
 英陸軍少将の著者は、戦後、称賛と非難の両極端に分かれたマンシュタイン評価に対し、その生涯を包括的に再構成し、ドイツ近現代史の流れを投影しつつ、ドイツの興亡を活写する。マンシュタインはナチ犯罪・戦争犯罪にどこまで関与したのか? 新史料や私文書を駆使し、「名将」の光と影、実像に迫る評伝の決定版。

マンゴウ・メルヴィン[メルヴィン]
英国陸軍の軍人として要職を歴任。2009年には専門家として旧ユーゴスラヴィア国際戦犯裁判に出廷した。2011年に退役、最終階級は少将で、バス勲章と大英帝国勲章を受けている。生粋の職業軍人である著者がドイツ軍事史に関心を抱いたのは在独英軍勤務時代で、なかんずく第二次世界大戦屈指の作戦家であるマンシュタインに注目、伝記執筆を志した。その史資料の博捜ぶりは徹底したもので、ドイツ連邦国防軍の高級将校とのあいだにつちかった信頼関係に基づき、関係者へのインタビューも試みている。

大木 毅[オオキ タケシ]
軍事史研究者、ドイツ近現代史専攻。主要著書に『ドイツ軍事史』(作品社、2016年)、主要訳書にフリーザー『電撃戦という幻 上・下』(中央公論新社, 2003年)、キーガン他『戦いの世界史: 一万年の軍人たち』(原書房, 2014年)がある。

内容説明

「名将」の光と影、実像に迫る評伝の決定版!生誕からエリート参謀、ヒトラーに仕えたフランス侵攻、クリミア戦役まで、英国陸軍少将の著者が新史料や私文書を渉猟し、その栄光と挫折の生涯を精彩に描く。著者による「日本語版への序文」、カラー口絵地図・写真多数収録。

目次

第1章 プロイセンの子
第2章 昇る星ライヒスヴェーア時代
第3章 ヒトラーに仕える
第4章 権力の中枢にて
第5章 再び戦争へ
第6章 勝利の設計者
第7章 輝ける夏
第8章 フランスからロシアへ
第9章 装甲軍団長
第10章 クリミア戦役

著者等紹介

メルヴィン,マンゴウ[メルヴィン,マンゴウ] [Melvin,Mungo]
英国陸軍の軍人で、サンドハースト陸軍士官学校ならびにケンブリッジ大学ダウニング・カレッジで学び、また、軍人となってからは、ドイツ連邦国防軍指揮幕僚大学校に派遣されて入校し、その教育も受けている。1974年に任官、王立工兵隊に入隊して以来、陸軍でキャリアを重ね、さまざまなポストに就いてきた。主立ったものとしては、第二八工兵連隊長、陸軍戦略・戦闘研究所長、NATO(北大西洋条約機構)連合軍即応兵団工兵隊長、参謀本部陸戦監、国防省作戦能力監督部長、在独英軍給養司令官などが挙げられ、要職を歴任してきた

大木毅[オオキタケシ]
1961年東京生まれ。立教大学大学院博士後期課程単位取得退学。DAAD(ドイツ学術交流会)奨学生としてボン大学に留学。千葉大学その他の講師を経て、現在著述業。二〇一六年度より陸上自衛隊幹部学校部外講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ジュン

10
本書を読むにあたって以下の問いを念頭に置いた。①ナチ党員ではない軍高官とヒトラーとの関係、②絶滅戦争を遂行した将軍の戦争責任、③戦後にマンシュタインが主張した「失われた勝利」は事実か。①ナチイデオロギーには薄いが愛国者として偉大なドイツを支持し、③についてはプロパガンダ性が強く、元帥は戦略家というより作戦家であったようだ。問題は②で、筆者は歴史家としての誠実さから大量虐殺への加担を証明できなかったと記している。いずれにせよ、本書の主題は最も優秀なプロイセン軍人の生涯から第三帝国の興亡を活写したことにある。2019/06/28

蜻蛉切

10
大枚を叩いて購入してから読了まで一年半。(まだ下巻が・・・) お値段分の読み応えはあったと思う。 彼の自伝は若い頃に読んだが、妙に言い訳じみた内容だったと記憶している。 著者はイギリスの元軍人であり、非常に丁寧な内容。 特に印象深い点は、「ドイツ軍最高の”戦略家”」なる漠然とした評価を批判し、優秀であるが戦略家ではないという評価を下した点と、彼の評価を不動のものにした「クリミア攻略」が、必ずしもその犠牲に見合うものではないと冷静に批評している点である。 下巻が楽しみであるが、購入費用が・・・。2018/02/15

MUNEKAZ

7
イギリス人軍事史家によるマンシュタインの評伝。上巻は独ソ戦の前半、クリミア半島攻略まで。訳者のグデーリアン本でも感じたことだが、ドイツ帝国で生まれ育った生粋の君主主義者故に、ヒトラーの「生存圏」を求める闘争にも素朴な共感を示し、その蛮行には「見て見ぬふり」をする。優秀な作戦家という面以外に、こうした政治的な立ち居振る舞いをどう評価するかがポイントであろう。意外だったのは「知将」というイメージと違い、積極的に前線を回り将兵と交わる指揮官だったということ。優れたリーダーシップの持ち主だったことは間違いない。2020/03/25

代理

1
ハルダーとの確執とか、独ソ戦の一つとして見た場合のクリミア戦役の捉え直しとか発見が多かった。セヴァストポリ要塞戦で見せた限りある戦力を神技的戦術眼でやりくりするマンシュタインの能力を高く評価しているが、そもそもそれが“限りある戦力”になったのは、最初のマンシュタインの戦力分散のせいという指摘は彼の自伝には無い視点だった。2024/08/04

ソノダケン

1
著者のマンシュタイン評はシンプルで、「作戦レベルの天才だが戦略レベルでは平凡」とゆうもの。あまり独自性は感じない。「失われた勝利」伝説(=マンシュタインに自由を与えれば負けなかった)や、大量虐殺への関与の程度(=国防軍は本当に騎士道精神の持ち主か?)などがくわしく検討されるが、腑に落ちる記述ではない。大きすぎるテーマや、複雑すぎる因果関係は、人間とゆう生き物の理解の範疇を超えてる気もする。当のマンシュタイン元帥さえ、ヒトラーと議論するたび、政治経済ネタを反駁できずにふてくされてたくらいだから。2016/12/02

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