出版社内容情報
【第66回岸田國士戯曲賞受賞作品】
川の音に誘われる、孤独と、後悔と、温もりと、広島に住む家族の物語。「家族の抱える症候群」を穏やかに紡ぐ、珠玉の現代口語演劇。
内容説明
いつだって家の近くでは川の音がしていた。朝は爽やかに、夜は誘い込むように響き続ける―。孤独と、後悔と、温もりと、広島に住む家族の物語。第66回岸田國士戯曲賞受賞作品。
著者等紹介
福名理穂[フクナリホ]
1991年生まれ。広島県出身。劇作家・演出家。ぱぷりか主宰。青年団演出部(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ふう
11
第66回岸田國士戯曲賞受賞作。ゴポゴポと流れる川を背景に、ギャンブルやアルコール依存症、介護問題、同性愛などなど、田舎の何気ない”日常”から浮かび上がる今の日本が抱える様々な問題。これらが短い台詞と必要最低限のト書きから雄弁に語られる。連作の短編集を読んでいるような味わいで「面白い」よりも「上手い」という感じ。個人的には正直こういう話は観に行かなそうだけど面白く読めたことは確か。実際生活しててなんでもかんでも説明しないもんなあ。2025/08/28
法水
3
第66回岸田國士戯曲賞受賞作。最終候補になった際に無料公開された上演台本を読んでいるけど、当然のことながら体裁がきちんと整っていて読みやすくなっていた(上演台本は誤字脱字のオンパレードだったので)。あとがきに筆者の人柄が表れていてよかった。2023/09/28
ミキ
2
2024-94:第六十六回岸田國士戯曲賞受賞作。歪な家族感の会話劇。お父さんがなんで死んだのかが最後までわからなかった。2024/09/07
shrzr
0
広島駅から40分の川辺の家。描かれているのは家族の困難だが、絶望とか崩壊ということではなく、かといって希望があるとも言えない。この抑制が効果的。2022/08/07
スパナ
0
広島に住む家族を描いた戯曲。川で亡くなった父とその一周忌あたりを舞台に、30から40代の兄妹たち等を描いているが、一人ひとりが現代の生きにくさを抱えている。そして、それぞれがどこかちゃんとしていなくて、そこに人間臭さが漂っていていい。2022/08/07