出版社内容情報
1960年代末から70年代にかけてボールドウィンは、アメリカという国が、マルコムXや非暴力を唱えていたキング牧師さえも殺害し、黒人解放運動を袖にする様子を目の当たりにした。公民権運動が盛り上がりを見せ、一時は希望と期待に胸膨らませたが、結局これまでと変わらぬ白人優位の体制を選んだことを思い知らされ、深い幻滅と絶望を味わったのだ。
アフリカン・アメリカン研究の分野をリードする著者は、ボールドウィンの足跡と数ある作品の中から、当時の暗澹たる状況に彼がどう向き合ったかを探り出した。初の黒人大統領が誕生し、今度こそアメリカは変わると思われたすぐ後でトランプ政権に代わり、白人至上主義が再燃するような今の危機的状況にこそ、ボールドウィンの作品と当時の発言を振り返り、もう一度始めるためのヒントを探る意義があると考えたからだ。
都合よく解釈され語り継がれてきた「アメリカ」という物語を?と断じたうえで、ボールドウィンの意図することとその背景にあるものを深く掘り下げ、当時と今を行き来しながら、われわれが直面する人種問題、ひいてはアメリカという国のありようについて論じた魂の書である。
内容説明
「アメリカ」という物語の偽りと希望。建国以来、失望と幻滅を味わい続けてきた人種差別問題の歴史とその本質を、斯界の第一人者がボールドウィンの足跡と作品に託して語り尽くした魂の書。
目次
第1章 アメリカの嘘
第2章 証言
第3章 危険な道
第4章 仕切り直し
第5章 異郷
第6章 残骸
第7章 もう一度始める
結論 新しいアメリカ
著者等紹介
グロード・ジュニア,エディ・S.[グロードジュニア,エディS.] [Glaude Jr.,Eddie S.]
プリンストン大学教授、同大学アフリカン・アメリカン研究学科長。1968年生まれ。モアハウス・カレッジ卒業後、テンプル大学で修士号(アフリカン・アメリカン研究)、プリンストン大学で博士号取得(宗教学)。ボウディン・カレッジ教授、ハーヴァード大学客員研究員などを経て現職
秋元由紀[アキモトユキ]
翻訳家、米国弁護士。著書に『ビルマ・ハイウェイ』(第26回アジア・太平洋賞特別賞受賞)、ベネディクト・ロジャーズ『ビルマの独裁者 タンシュエ』(以上、白水社)がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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