出版社内容情報
偏見はいかにして生まれ、
解消されたか
ヨーロッパの歴史において、左手は「邪悪な手」とされ、左利きは差別されてきた。ヨーロッパの諸言語には、右を「縁起の良いもの」、左を「不吉なもの」とした慣用表現が多く見られる。さらには、古代の呪術的信仰からキリスト教にいたるまで、右は「聖」もしくは「善」の象徴、左は「不浄」もしくは「悪」の象徴とされてきた。中世やルネサンスの名画でも、エバはしばしば禁じられた木の実を左手でもいでいる。
ただし、現代スポーツのサウスポーを待つまでもなく、たとえば戦闘において左利きの存在が有利に働く場面があることは古代から認識されていた。一方、平等の名のもとに不寛容が広まった時代もあり、偏見の裏返しとして左利きを天才と結びつける傾向も存在する。偏見から解消への道のりは紆余曲折あった。本書は、人文科学、社会科学、自然科学のさまざまな分野を横断しながら、左利きの人たちに対する寛容と不寛容の歴史を明らかにしていく。
中世からのテーブルマナーの変化や、美術史家は絵画からどうやって画家の利き手を見分けるのか、「右手の優越」を通して見る西洋近代の思考様式など、興味深い話が満載の文化史。
内容説明
偏見はいかにして生まれ、解消されたか。中世からのテーブルマナーの変化や絵画の分析、「右手の優越」を通して見る西洋近代の思考様式など、現代までの複雑な歴史をさまざまな角度から語る。
目次
序論
第1部 正しい手と邪悪な手(なぜ人類は右利きなのか;右手主導の規則;左利きによる秩序の転覆)
第2部 軽蔑された左利き(左利きという異常性;左利きという烙印;下等人間の特性;不寛容のはじまり;虐げられた左利き)
第3部 容認された左利き(中世の黄金時代;近代の解放にいたる長い道のり;二つの右手の神話)
第4部 称賛された左利き(左利きの卓越性;左利きの巨匠たち)
結論
著者等紹介
久保田剛史[クボタタケシ]
青山学院大学教授。左利き(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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