姿なきテロリスト

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  • サイズ B6判/ページ数 323p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560092293
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

「9・11」後、恐怖に脅かされた世界を暴く、戦慄の傑作長編。ポールダンサー「ドール」がテロリストとして手配された!?欲望うずまく大都市を舞台に、警察とメディアの執拗な追及、悪夢のごとき三日間の逃走劇を描く。『グールド魚類画帖』の作家が到達した新境地。

著者等紹介

フラナガン,リチャード[フラナガン,リチャード][Flanagan,Richard]
1961年、オーストラリア・タスマニア州生まれ。16歳で大工を志して学校を退学し、奥地で測量技師として働く。やがて学業に復帰し、タスマニア大学、オックスフォード大学修士課程で歴史学を修める。帰国後はリバーガイド、建設現場の作業員などの職に就く。小説Death of a River Guide(1994)でデビューし、多くの読者に支持される。つづいて小説The Sound of One Hand Clapping(1997)が15万部を超えるベストセラーを記録し、作家本人が脚本・監督を手がけて映画化、ベルリン映画祭最優秀作品賞にノミネート(1998)される。そして第3作目の小説『グールド魚類画帖 十二の魚をめぐる小説』(白水社、2005)Gould’s Book of Fish:a novel in twelve fishで、英連邦作家賞を受賞(2002)して、世界的に高い評価を受ける。また、アボリジニ問題、森林保護についても積極的に発言、運動を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

南雲吾朗

22
神保町ブックフェスの露店で何気なく手に取った本。半額以下だったので中身も観ずに買ってしまった。「イエスは愛が十全でないことを理解し周囲の人々の未来を拓くため自らの命を犠牲にすることを受け入れた点において、イエスは歴史上初の、しかし最後ではない、自爆テロリストの一例なのだ。」と言う件から始まる小説。主人公は現実主義(小説に書いてある現実主義とは「この先落胆しないよう、落胆を受容すること」)のポール・ダンサー。2017/12/09

ndj.

16
あたしが誰のことも助けたことがないのに、誰が助けてくれようか─現金至上主義のポールダンサーが、追われる身となってたどり着く疑問。メディア、公権力、「テロリズム」に対して過敏症に陥った民衆、日を追うごとに、あっという間に周りはすべて敵となり、彼女は己が万人の幸福のためにささげられた贖罪の子羊なのではないか、という意識を持つにいたる。そこから破滅に向かって突進していく火曜日の迫力が凄まじく、ひたすらぞっとした。テロリズムを題材に使いながらも、人間性の奥に普遍的に潜む暴力性をも炙り出した力作だった。2018/06/30

鷹図

14
舞台はオーストラリア。中東系の男と、マンションに入るところを監視カメラに撮られたことにより、テロリストに仕立て上げられてしまうポールダンサーの悪夢。一言でいえば「冤罪小説」だが、思い出されるのは佐野眞一の、東電OL事件について評した「世間が発情した」という言葉。本書にはまさしく「発情した」市民たちの姿が書かれている。若い白人の女でストリッパーという、テロリストとは縁遠いように思われる人物像に、想像力を働かせ(発情して)、矛盾と欠落を埋めていく市民たちと、その市民たちの発情を煽りに煽る、狂気のメディア産業。2012/09/05

saeta

11
ショパンの夜想曲15番を通奏低音として、ストーリーを展開して行った感じか。エンディングはグッドエンドでは無いので好き嫌いが分かれそうな気がする。しかし、誰もが知ってる2番や戦場のピアニストの20番でもなく15番とはなかなか通なセレクトだな。2020/03/02

長押新

5
差別の現実を垣間見た。主人公の女はポールダンサーであり、その日会った名前も知らない男とセックスしたり、現実には考えられないような展開が待ってはいるが、彼女の特に知的でも無く残虐でも無い26歳の女の思考が、物語をもっとも現実的なものへとしていく。驚くほどに狭い世の中が描かれているが故に、人種や職業、貧富への差別意識が更なる偏見を持って膨んでいく。そして自分の立ち位置が変わった時、いままで自分も抱いていた差別意識や偏見に苦しめられ、過ちに気が付いていく。その人間の心が、妙に恐ろしかった。2012/02/29

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