母の家で過ごした三日間

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  • サイズ B6判/ページ数 234p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784560092071
  • NDC分類 953
  • Cコード C0097

内容説明

前金に手をつけながら、もう何年も書きあぐねている作家フランソワ59歳。最愛のママンの家に足を向けられないまま、ひたすら過去の甘い追憶・文学談義・お色気話に現を抜かしているが、いつしか妄想が妄想を生み、彼の苦悶は幾重にも変奏されていく―脱線の名手による、ゴンクール賞受賞作。抱腹絶倒のマトリョーシカ小説。

著者等紹介

ヴェイエルガンス,フランソワ[ヴェイエルガンス,フランソワ][Weyergans,Francois]
1941年ベルギー・ブリュッセル生まれ。パリ在住。モーリス・ベジャールのドキュメンタリーを始め、何本かの短編映画を監督・制作したのち、1973年『道化師Le Pitre』を発表、作家としてのキャリアをスタートさせる。代表作に『コプト人マケールMacaire le Copte』(1981年、ドゥ・マゴ賞)、『ボクサーの錯乱 La D´emence du boxeur』(1992年、ルノドー賞)、『フランツとフランソワ Franz et Francois』(1997年、フランス語大賞)など。『母の家で過ごした三日間』は、ウエルベックやトゥーサンの作品を抑え、2005年ゴンクール賞に輝いた

渋谷豊[シブヤユタカ]
1968年生まれ。早稲田大学第一文学部フランス文学専修卒。パリ第四大学文学博士。信州大学人文学部准教授。専門は、フランス現代文学、比較文学。訳書エマニュエル・ボーヴ『ぼくのともだち』『きみのいもうと』(白水社、この二作で第十三回日仏翻訳文学賞受賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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Willie the Wildcat

22
苦悩。心と身体の不一致。「頭ではわかっていても・・・」って心情、身近だなぁ。(汗)一歩踏み出すまでに費やした時間を、如何に見るか。時に死生観すら偲ばせるかのような、「夜空を裸で眺める」場面が印象的。性描写は、著者にとって、心情の揺れと人間の欲の表現かも知れない。故の「母の家」だったのかなぁ、という読後感。後書きも興味深く、納得感と共に若干の驚き・・・。2014/02/01

バナナフィッシュ。

4
訳者の語る通り、この本から褒めるべき点を挙げるとすれば、主人公のなんとも憎めない人柄だろう。昔で言えば坊ちゃん気質といったところか。女と金に負け、残っている筆書きとしての能力も手詰まりときてる。それでも悲壮感なく今を楽しく送る。50代。悲壮感に浸るのは、死ぬ前だけでいい。2018/01/29

中玉ケビン砂糖

2
「あなたは皆を怖がらせている」──昨晩、デルフィーヌはこう言って、険悪になりかけた会話に終止符を打った。僕の態度を見ていると、ときどきこんなふうに決めつけずにはいられないらしい。」小説の中に「作家」が出てくる場合、大抵そいつはスランプに陥っている。白紙のタイプ紙を目の前にして、自分の無能さを嘆いている。この本の主人公もおそらくそうだが、問題なのは、ユーモラスなセリフ回しに翻弄されて、作中作と物語上の人間、その境目が溶かされていく、というこれまたユーモラスな装置に引きずり込まれること。再読の可能性あり。2014/07/29

bitotakeshi

1
正直よくわからなかった。胎内回帰願望というかそういうテーマなのかな。話があっち行ったりこっち行ったりして、頭がついていけなかった。あとセックスの話が多すぎる。ウェルベックもそうだけど、フランスではこういうのがウケるのか。2017/10/05

童 貞夫

1
執筆契約が1992年、脱稿が2005年と完成までに膨大な時間を要したこの小説はその書けなさについて綴ったもの。「頭では分かっているが…」との心と体の悩ましい乖離は身につまされるが、書けない言い訳が延々と続くこの小説に不快な湿っぽさはなく、思弁と想起が多方向にずるずる横滑りしていく語り口は笑えるし楽しませられる。終盤には悲哀も。多重の入れ子構造となっている作りも楽しい。筋書きや微細な心情描写は特にないが、豊かな時間は約束してくれるような一冊。2014/05/27

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