出版社内容情報
前巻の『ドイツ史1866―1918 労働世界と市民精神 (上・下)』が、ドイツ帝国の社会・経済史と宗教を含む文化史とに充てられているのに対して、本書は政治史を扱い、政治に関わる様々な分野の「状態史」=「構造史」と「出来事史」=「事件史」を詳述する。
1871年の帝国建国から、その諸構造と諸勢力、ビスマルク時代までを扱う「上巻」では、普仏戦争、憲法、行政、財政と税制、法と司法、軍、国民国家、反ユダヤ主義などのテーマを分析し、考察する。
1890年以降の構造的諸問題から、ヴィルヘルム時代、第一次世界大戦までを扱う「下巻」では、国家と憲法体制、政党、対外政策、帝国主義、戦争の展開、革命、終戦などのテーマを分析し、考察する。
単に出来事を叙述するというだけではなくて、息の長い考察が随所で展開されている。独特な語りの文体で著わされた歴史書であるが、物語るような叙述というよりも分析と考察のほうに遙かに大きな比重が置かれている。ニッパーダイは、物語る歴史家であるよりも考える歴史家なのであり、そして自らの考えを十分な根拠に基づいて説こうとする歴史家なのである。
内容説明
一八九〇年以降の構造的諸問題から、ヴィルヘルム時代、第一次世界大戦まで。国家と憲法体制から、政党、対外政策、帝国主義、戦争の展開、革命、終戦まで、政治に関わる様々な分野の状態史=構造史と出来事史=事件史を詳述。
目次
第4章 一八九〇年以降の構造的諸問題(国家と憲法体制の変化;選挙;一八九〇年から一九一四年までの政党;利害団体;一八九〇年以降のナショナリズム;ドイツの連邦諸邦)
第5章 ヴィルヘルム時代(対外政策、帝国主義、海軍拡張;一八九〇年から一九〇六年までの内政;危機のなかの帝国―一九〇七年から一九一四年までの内政)
第6章 第一次世界大戦(一九一四‐一九一六年の戦争の展開;戦争初期の国内問題;戦争目標と講和の試み;一九一六/一七年の転換;決定と先送りされた決定―一九一七年;経験;週末―一九一八年)
終章
著者等紹介
ニッパーダイ,トーマス[ニッパーダイ,トーマス] [Nipperdey,Thomas]
1927~1992。ドイツ・ケルン生まれの歴史学者。ゲッティンゲン大学、ケルン大学、ケンブリッジ大学で学び、博士学位は初期ヘーゲルに関する論文で取得した。その後、哲学から歴史学に転じ、論文「1918年以前のドイツ諸政党の組織」で教授資格を取得した。最初にカールスルーエ工科大学の歴史学教授に就任し、次いでベルリン自由大学に招聘されて哲学部長を務めた後、1971年から亡くなるまでミュンヘン大学の歴史学教授として活躍した
大内宏一[オオウチコウイチ]
1946年生まれ。ドイツ近代史。早稲田大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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