出版社内容情報
卓越したユーモアと奇想、殺伐とした日常を切り取る鋭い眼差し。現代シリア文学を代表する作家による短篇集と中篇を収録。本邦初訳ユーモアと奇想に満ちた中短篇集
暴力と抑圧がはびこる架空の街区を舞台に、現代シリア文学の重鎮が描く短篇集と中篇の二作を収録。
『酸っぱいブドウ』
「短剣に斃る」──強欲で乱暴で慎みを欠き、くせ者揃いの住民で知られるクワイク街区。そこに暮らす片耳の男ヒドゥル・アッルーンは、自分の伴侶のように大事にしていた短剣を警察に没収されてしまう。
「隘路の外衣」──クワイク街区を抜けて近道しようとしたムフスィン・ファーイルは、黒い外衣をまとった女に道を訊かれる。知らないと答えると、突然その女の兄を名乗る男が現われ、因縁をつけられる。
「ハッラーウの末路」──床屋のサイード・ハッラーウは店を閉め、謎の黄色い錠剤を売っている。錠剤には魔法のような効能があり、街区に住む男たちは次々と中毒に陥るが、その成分や製造方法は誰にもわからない。
「八時」──ハナーン・ムルキーは一時間刻みで約束をこなす。正午には公園、一時にはある家、二時にはカフェ、三時には映画館、五時には婦人服店、六時にはレストランへ……多忙な娘が八時に帰宅するまでの半日を追う。
『はりねずみ』
両親と兄と暮らす六歳の「僕」。シリアの子どもの殺伐とした日常を、コミカルかつシニカルに語る。
ザカリーヤー・ターミル[ターミル]
著・文・その他
柳谷 あゆみ[ヤナギヤ アユミ]
翻訳
内容説明
『酸っぱいブドウ』―「短剣に斃る」:強欲で乱暴で慎しみを欠き、くせ者揃いの住民で知られるクワイク街区。そこに暮らす片耳の男ヒドゥル・アッルーンは、自分の伴侶のように大事にしていた短剣を警察に没収されてしまう。「隘路の外衣」:クワイク街区を抜けて近道しようとしたムフスィン・ファーイルは、黒い外衣をまとった女に道を訊かれる。知らないと答えると、突然その女の兄を名乗る男に因縁をつけられる。「ハッラーウの末路」:床屋のサイード・ハッラーウは店を閉め、謎の黄色い錠剤を売っている。錠剤には魔法のような効能があり、街区に住む男たちは次々と中毒に陥るが、その成分や製造方法は誰にもわからない。「八時」:ハナーン・ムルキーは一時間刻みで約束をこなす。正午には公園、一時にはある家、二時にはカフェ、三時には映画館、五時には婦人服店、六時にはレストランへ…多忙な娘ハナーンが八時に帰宅するまでの半日を追う。『はりねずみ』―両親と兄と暮らす6歳の「僕」は、大人にいたずらを仕掛け、質問攻めにして困らせるのが大好き。シリアの子どもの殺伐とした日常をコミカルかつシニカルに語る。
感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
りつこ
ヘラジカ
TSUBASA
空猫