エクス・リブリス
歩道橋の魔術師

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  • サイズ B6判/ページ数 212p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560090398
  • NDC分類 923.7
  • Cコード C0097

出版社内容情報

1979年、台北。物売りが立つ歩道橋には、子供たちに不思議なマジックを披露する「魔術師」がいた――。今はなき「中華商場」と人々のささやかなエピソードを紡ぐ、ノスタルジックな連作短篇集。

内容説明

幼年時代の懐かしい匂い、よみがえる魔法の時間。1980年代初頭、台北。物売りが立つ歩道橋には、子供たちに不思議なマジックを披露する「魔術師」がいた―。台湾で今もっとも旬な若手による、ノスタルジックな連作短篇集。

著者等紹介

呉明益[ゴメイエキ]
1971年、台湾・台北生まれ。小説家、エッセイスト。国立東華大学中国文学部教授。輔仁大学マスメディア学部卒業、国立中央大学中国文学部で博士号取得。短篇集『本日公休』(1997年)でデビュー。2003年、2007年、2011年、2012年、2014年に『中国時報』「開巻十大好書」選出、2004年雑誌『文訊』新世紀セレクション選出、2007年香港『亜洲週刊』年間十大小説選出、2008年、2012年台北国際ブックフェア賞(小説部門)など受賞多数

天野健太郎[アマノケンタロウ]
1971年愛知県三河生まれ。京都府立大学文学部国中文専攻卒業。2000年より国立台湾師範大学国語中心、国立北京語言大学人文学院へ留学。帰国後は中国語翻訳、会議通訳者。聞文堂LCC代表、台湾書籍を日本語で紹介するサイト「もっと台湾」主宰、俳人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

249
2016年本屋大賞翻訳部門第3位。ひどくノスタリジックな本だった。今はもうなくなった風景がいつまでも記憶に残り、時たま蘇ることがある。それは例えば映画『三丁目の夕日』を見る時に似て心地よい。本作は台湾の中華商場を舞台にした短編集である。誰もが持つ「商場の子供」として過ごした日々・そして失った商店街..そこに生きた人々との記憶はいつまでも生き残り、本書は現代の視点で蘇らせてくれる。それにしてもこの清々しさは何なのだろうか。日本の昭和の懐かしき商店街の良き雰囲気を台湾文学で描いてくれている、そんな物語だった2016/05/08

こーた

131
発展途上の台湾。巨大なショッピングモールの屋上で光り輝く広告看板は、めくるめく世界を照らす魔術のようにきらめく。棟を繋ぐ歩道橋には魔術師(マジシャン)がいて、かれの披露するマジックは、過去といまを、死者と生者を、現実と夢を、語り手と読み手を繋いで、橋を架ける。エドワード・ヤン的風景が広がる台北の街並みは、都会的な美しさを放ちながらも、どこか懐かしくて郷愁をさそう。三丁目のネオンサイン。みんなこの街で育って大人になった。小説が見せる魔術(マジック)に、あなたもわたしも酔い痴れる。2017/10/29

アン

104
中華商場を舞台に、ひたむきに生きた少年時代を回想する連作短編集。歩道橋の魔術師と子供との交流場面では、マジックと魔術師の言葉に心を奪われ、幻想的で不思議な時間が流れます。魔術師が見せてくれたものとは…。子供の頃は想像の世界が広がり、知らない事に憧れたり戸惑ったり。歩道橋は、現実の出会いや別れという様々な出来事を胸に抱え、ささやかな日常を生き抜く為に時空を繋ぐ大切な存在であったのではないでしょうか。大人になって蘇る、ネオンが光る夜のノスタルジアが漂う光景は、哀愁を帯び鼓動をかすかに響かせているよう。 2019/06/07

巨峰

100
読みやすくて面白かった!台北の中華商場(大阪駅前第何ビルみたいなごった煮のばかでかい建物。人々がそこで商売をして生活しています)を舞台に、そこで暮らす子供たちが主役の短編集です。そして子供たちの物語をつなげるのが「歩道橋の魔術師」。幼いころの記憶はどんな大人であれ懐かしい光彩に包まれていると思うのですが、80年代の台湾の記憶はひときわ鮮やかな色彩を纏っている感じです。宮本輝の初期の大阪を舞台にした自伝的作品のいくつかを思い出しました。過去の記憶というのは今を生きる人のためのよすがかもしれませんね。2016/09/09

naoっぴ

79
台湾の中華商場が舞台。子供の頃に住んでいたそこでの暮らしはなんてことない普通の日常だったけれど、大人になって思い出せば、そこには数々のドラマがあったことに気づく。あの記憶は本当に起きたことだろうか。それとも夢だったのだろうか。トカゲのように別々の方向を見る目をもつ魔術師が繰り出すさまざまな不思議は、あのときたしかに空間を歪め、子どもたちの心を現実から遠ざけた。大人になった今でも鮮やかに残るその記憶が、ひとつひとつの物語となり語られる。夢と現実のあわいのような物語。2018/12/03

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