エクス・リブリス
ビルバオ‐ニューヨーク‐ビルバオ

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  • サイズ B6判/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560090244
  • NDC分類 993.53
  • Cコード C0097

出版社内容情報

バスクから海原を渡った清風が、静かな感動を呼ぶ。世界が瞠目する新星の処女作。

【著者紹介】
1970年、スペイン・バスク生まれ。2001年に処女詩集『しばらくのあいだ私の手を握っていて』を出版、スペイン批評家賞(バスク語詩部門)を受賞、英語版は米国ペンクラブの翻訳賞最終候補になる。08年、処女小説となる本書を発表し、スペイン国民小説賞を受賞、大きな話題を呼ぶ。

内容説明

主人公キルメン・ウリベは、バスクの中心都市ビルバオから、飛行機でニューヨークへ向けて旅立つ。心に浮かんでは消えていく、さまざまな思い出や記憶…。祖父の船の名前をめぐる謎。スペイン内戦に翻弄されたバスクの画家アウレリオ・アルテタと、ピカソの“ゲルニカ”にまつわる秘話。漁師として、ビスケー湾からスコットランド、アフリカ沖、カリブ海へと海を渡り歩いた父や叔父たちのこと。移民や亡命者たち。そして今書いている小説のこと。失われゆく過去を見送りながら、新たな世界へと船出していく、バスク文学の旗手による珠玉の処女小説。

著者等紹介

ウリベ,キルメン[ウリベ,キルメン][Uribe,Kirmen]
1970年、スペイン・バスク自治州ビスカイア県の港町オンダロアに生まれる。大学でバスク文学を学んだのち、北イタリアのトレント大学で比較文学の修士号を取得。2001年に処女詩集Bitartean heldu eskutik(『しばらくのあいだ私の手を握っていて』)を出版。バスク語詩における「静かな革命」と評され、スペイン批評家賞を受賞、英語版は米国ペンクラブの翻訳賞最終候補になる。世界各地のポエトリー・フェスティバルに参加し、朗読会や講演を精力的に行なう

金子奈美[カネコナミ]
1984年秋田県生まれ。東京外国語大学外国語学部(スペイン語専攻)卒業。同大学院修士課程修了。現在、東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士課程在籍。専門はバスク地方およびスペイン語圏の現代文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

78
「魚と樹は似ている」という魅力的な一文で紐解かれるのは、バスクの姿とバスクと共に生きてきた人々の歴史が各逸話と共に編み込まれていく。海に揺蕩いながら空を見上げているような、貝の中で幾層にも重ねられて真珠が作られているような詩的な文章が心地良い。解説にはスペイン内戦以降、バスクは冷遇と独立を目指す内戦を重ねてきたそうです。それを踏まえるとウナイのバスク・サッカーへの期待の掛け方に唖然とする作者の意図が朧げに見えてくる。特に好きなのは希望を失わず、大切なものを見つけていた天才画家、アルテラの逸話。2016/07/04

巨峰

59
作者がみずからの出自・家族史を語った処女作。エピソードが断片的でところどころに惹かれるものがなくはなかったけど、全体を見たときは物語的な流れが掴めずになんとか最後まで読んだ感じ。表紙は素敵ですね!2016/10/20

miyu

50
「魚と樹は似ている。どちらも輪をもっている」こんな始まり方をする物語に惹かれないわけがない。しかし読み始めてから作者の意図がまるで解らなく面食らった。これは小説?それとも単なるエチュード?話の基点があちこち飛ぶ気がして心も身体も揺すぶられる。それは私にはタフな時間の連続だった。けれど躊躇いながら読んでいるうちにはっとした。「僕」と一緒に旅するつもりになればよかったのかと。作者が辿る道なりに沿って自分も見たり聴いたり感じたりすればよかったのかと。そうと気づいてからはこの物語との旅は美しい余韻を残していった。2015/11/03

おおた

32
辻征夫は「詩は正確でなければならない」と説いた。わたしは40歳を越えてようやく詩を読むことができるようになった。正確な言葉、言葉が持つ喚起力を裾の端程度はとらまえることができるようになったから。本書は作家自身がスペインのバスク地方ビルバオからニューヨーク、さらにビルバオに戻り自分のルーツを聞き書きしていく。一見ルポルタージュのように見えるけれども、個々のエピソードが持つ幻想性や息吹はまちがいなく生きていた人々のもので、それが今日までつながっている奇跡が詩なのかもしれません。2017/09/28

けいと

22
作者が本を作るために取材をしながらビルバオからニューヨークまでを旅をする。往来の歴史でもあり逃避と帰還の物語でもある父方の家族のたどってきた道のりについて考える。辛い出来事は記憶の中に留まって人生の徴となる。魚や樹の持つ輪のように喪失は内面に残された黒い輪である。作者自身は飛行機で旅をしているのだろうが読んでいるこちらは船の上を漂っているような静かな気持ちになる。各章ごとに心に残る珠玉の言葉がたくさんあってとてもよかった。2012/12/22

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