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兵士はどうやってグラモフォンを修理するか

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  • サイズ B6判/ページ数 402p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560090145
  • NDC分類 943
  • Cコード C0097

出版社内容情報

ボスニア紛争の前後、ひとりの少年の目を通して語られる小さな町とそこに暮らす人々の運命。ボスニア出身の新星による傑作長編。

内容説明

ユーゴ紛争の戦禍を生き抜く少年の想像力、「物語る魔法使い」が紡ぐ故郷と家族。1992年に勃発したボスニア紛争の前後、少年アレクサンダルの目を通して万華鏡のように語られる、小さな町ヴィシェグラードとそこに暮らす人々の運命。実際に戦火を逃れて祖国を脱出した経験を持ち、ドイツ語で創作するボスニア出身の新星による傑作長編。

著者等紹介

スタニシチ,サーシャ[スタニシチ,サーシャ][Stanisi´c,Sasa]
1978年、旧ユーゴスラヴィア(現ボスニア・ヘルツェゴヴィナ)のヴィシェグラード生まれ。十四歳で家族とともに戦火を逃れ、ドイツのハイデルベルクへ移住。現地の学校から大学へ進学し、ドイツ語で詩やエッセイ、短編小説を発表、高い評価を受ける。『兵士はどうやってグラモフォンを修理するか』(原題Wie der Soldat das Grammofon repariert)は2006年に刊行された長編デビュー作で、同年のドイツ文学賞の最終候補に残ったほか、2007年ブレーメン市文学奨励賞、2008年シャミッソー賞、ハイミト・フォン・ドデラー文学奨励賞を受賞

浅井晶子[アサイショウコ]
1973年大阪府生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程単位認定退学。2003年マックス・ダウテンダイ翻訳賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

32
この本を読んで思い出したのは『さよなら、妖精』。利害の不一致による国の独立と民族の開放のための戦争は人々の穏やかな日常を侵食しつつも徹底的に破壊していった。突然、家族から「お前の自分たちの国の子でもあるが、敵の国の子でもある。この家から出て行け」と言われる現実が突然、やってきたのだ。そして子供の頃の視点が消えてから見えたのは蹂躙された街と見て見ぬ振りをして聴かなかった人々の呪詛と悲嘆。「飢えが憎い、解放軍が憎い、政府軍が憎い、でももっと憎いのは何も戦わず、何もできない自分自身だ」という文章が一番、辛い。2016/03/17

chanvesa

17
ボスニア紛争のことは、わたくしが中高生の頃でいろんなことを知りたがっていたにも関わらずあんまり知らない。マスコミもあんなに取り上げていなかったのではないだろうか?現代の戦争のことだから、残酷なひどい状況であったろう。でもこの小説は悲しくなるくらい希望を見いだそうとしている。アレクサンダルの過去を見いだそうとする姿勢と想像は、彼がドイツから帰国して、惨状を目にしながらも現状の拒否しないことにつながっていく。最後の十数頁は感動的。アーシヤへの電話や手紙も心動かされました。2014/01/18

paluko

10
「終わってしまったものも、死も、すべてぼくには不必要で不幸で不当なものに思える。(略)ぼくは「終わること」に反対する。「壊れること」に反対する。(略)ぼくは「ずっと続くこと」の筆頭同志で、「そのままさらに続く」を支持する!」(24頁)度々登場する「未完成なもの」という言葉がよくわからなかったけれどむしろ【未完了なもの】いまもそのまま続いているもの、という意味で使われているのではないか。気性の激しい親戚や友達(の親)が引き起こす日常の椿事と国家の内戦状態への突入がシームレスに語られていく。2021/02/04

saeta

10
原文がそうなのかもだが、いささか読みにくい作品だった。作者はサッカー好きなようで、かつてのイタリアの名GKディノ・ゾフの名が出て来たり、ボスニアの子供なのに旧ユーゴスラビアの名門クラブレッドスター・ベオグラードのファンだったり。レッドスター・ベオグラードの話で、訳文の中で一貫して「赤い星」チームと言う表現を使っていたが、固有名詞だしここは無理に訳さなくても良いかと思うが。女性の翻訳家なのでこの辺疎かったのか少々残念である。ボストン・レッドソックスを「赤い靴下」チームと訳す人は誰もいないと思うし。2020/02/18

hutaketa

10
[なにより貴重な才能は創造の力だ、最大の富は想像力だ]ユーゴスラビアは「7つの隣国、6つの共和国、5つの民族、4つの言語、3つの宗教、2つの文字により構成される1つの国」と表現された。そこでは全てが不確かで、だからこそ物語が必要とされたに違いない、と僕は想像する。だからパヴィチは編むことを要求する小説を書いた。そしてサーシャ・スタニシチもその方法を採った。物語に頻出するインターネットが象徴的だ。ネットにより世界は確かに近くなったが、それでも依然として世界は分断されている。必要なものは想像/創造力だ。傑作!2011/02/24

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