内容説明
アルフレッド(フレッド)・ジョーンズ博士は、研究一筋の真面目な学者。水産資源の保護を担当する政府機関、国立水産研究所(NCFE)に勤めている。ある日、イエメン人の富豪シャイフ・ムハンマドから、母国の川に鮭を導入するため力を貸してもらえまいかという依頼がNCFEに届く。フレッドは、およそ不可能とけんもほろろの返事を出すが、この計画になんと首相官邸が興味を示す。次第にプロジェクトに巻き込まれていくフレッドたちを待ち受けていたものは?手紙、eメール、日記、新聞・雑誌、議事録、未刊行の自伝などさまざまな文書から、奇想天外な計画の顛末が除々に明らかにされていく。前代未聞の計画に翻弄される人々の夢と挫折を描く、ほろ苦い笑いに満ちた快作。ボランジェ・エブリマン・ウッドハウス賞受賞作。
著者等紹介
トーディ,ポール[トーディ,ポール][Torday,Paul]
1946年に生まれる。オックスフォード大学ペンブルック・カレッジで学ぶ。処女作『イエメンで鮭釣りを』は、2007年に出版されるやたちまち評判を呼び、一躍ベストセラー作家となる。同年、「ボランジェ・エブリマン・ウッドハウス賞」を受賞、翌08年には「ギャラクシー・ブリティッシュ・ブック賞」の最優秀新人作家にノミネートされる
小竹由美子[コタケユミコ]
1954年東京生まれ。早稲田大学法学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
71
砂漠地帯で川の温度も温かめのイエメンで鮭釣りのための運河計画!?明らかに不可能な計画は英国政府の石油獲得、名声と補助金狙いの詐欺行為、アルカイダの暗殺計画、中年夫婦の危機などを巻き込み、進んでいって・・・。特に計画の要であるシャイフ様がお茶目!本当に『ウェイルバー氏のヴィンテージワイン』といい、客観的に見たら不幸に至る過程でも意地悪な優しさを持って描くのが、ポール・トーディ氏は巧みである。計画は流れたけど、鮭は泳いだ。それでいい。後、メアリは夫を思い通りにしたいだけの自己中女なのでラストは個人的に良し!2016/06/19
紅はこべ
43
映画の邦題が『砂漠でサーモン・フィッシング』なんて最悪。小説の邦題はシンプルだし、当然『アメリカの鱒釣り』(未読だけど)も連想できるし。思うに日本の映画の配給会社の人は、翻訳小説が嫌いなんだと思う。この小説は傑作です。映画版は邦題のせいで観る気が失せました。 2012/05/27
きゅー
21
コミカルな小説だ。しかし、イエメンに鮭を放流しようという無茶なプロジェクトがたんなるお祭り騒ぎではなく、人は信じる心を持つことが出来ることの象徴として現れてくると、しんみりとさせられる。日記、電子メール、関係者への事情聴取など複数のコンテキストにより、イエメン鮭プロジェクトの進展が語られるという文体上の特徴も面白い。さまざまな困難を乗り越えるうちに、すでに中年として落ち着いてしまっていた主人公が次第に若々しく、力強く変わっていく姿を追っていくのは一読者として愉しい経験だった。2015/06/26
ぱせり
20
とんでもない大法螺話は、踊リ踊らされる沢山の人々をのせて、洪水のように、わあっと流れていってしまった。だけどあとに残るのは不思議な清清しさ。「私はそれを信じる、なぜならそれが不可能だからだ」という言葉がしみじみといいです。2009/05/18
きりぱい
17
結末は結末として、あまりに鮮烈な収まり方に衝撃。思えば、事情聴取まで出てきた時点で気付くべきだった。事を迎えて初めてこの構成の意味に合点が行くとは。イエメンに鮭を泳がせるという荒技プロジェクトの依頼は、人間関係に影響を及ぼすだけでなく、政治やテロリストの思惑まで絡む緊張感を見せ、嫌な奴には赤裸々な批判の応酬までありと、視点を変えて十二分に楽しませてくれる。不思議と読後感が爽快なのは、面白いに増して、人生の前向きな示唆をも得られたからだろうな。2010/06/18
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