出版社内容情報
「あたりまえに失われていく毎日をひきとめたいと書くことは、だいそれた望みと思う」。ふれる、まつ、うたう、なく、わすれる、きく
〈わたし〉のからだの声を聞く
「あたりまえに失われる毎日をひきとめたいと書くことは、大それた望みだと思う」
ふれる、うたう、なく、わすれる、きる、はしる、かく……22の動詞をめぐって紡がれる文章は、自身の身体と心にまっすぐ向き合い、ときにばらばらになりそうなそのふたつを言葉でなんとかとり結ぼうとする、ささやかだけれど果敢ないとなみ。ひとつひとつ丁寧に重ねられていく言葉から、日常が非日常となり、色彩は華やぎ、五感は研ぎすまされる。
「なんだか、生きてるなと思う。きのうきょうと、ビックリするくらい生きてるなと気がついて、だれもいない女湯でふとももを揺らした。はだかで泣くと、とても軽い。赤ん坊というのは、もっとも勇敢な生きものだな。あんなにちいさくて、だれとも知らずに泣いているんだから」
ときにドキッとする描写や、微妙な女心も顔をのぞかせる、独特のことばの「肌触り」。けっして〈わたし〉とは言わない石田千の〈わたし〉が、抑制の利いた文章ながら、いままでで一番自分をさらしている。22枚の章扉を飾る石井孝典による著者の写真にも、本人も気づいていない〈わたし〉が写っている。
ふれる
わたる
ふりむく
なおる
えらぶ
はしる
はなす
まつ
うたう
わすれる
なく
おちる
かく
きる
かえる
おす
ひく
とぶ
ねる
やむ
きく
おどる
【著者紹介】
1968年福島県生まれ、東京育ち。國學院大學文学部文学科卒。「大踏切書店のこと」で、2001年第1回古本小説大賞受賞(のちに『あめりかむら』所収)。エッセイに『踏切趣味』『平日』『店じまい』『役立たず、』『みなも』『きつねの遠足』『夜明けのラジオ』『もじ笑う』『唄めぐり』など、小説に『あめりかむら』『きなりの雲』『バスを待って』『家へ』がある。
内容説明
ふれる、うたう、なく、わすれる、きく…身体と心を言葉でとりむすぶ、22篇。
目次
ふれる
わたる
ふりむく
なおる
えらぶ
はしる
はなす
まつ
うたう
わすれる〔ほか〕
著者等紹介
石田千[イシダセン]
1968年福島県生まれ、東京育ち。國學院大學文学部文学科卒。「大踏切書店のこと」で、2001年第1回古本小説大賞受賞(のちに『あめりかむら』所収)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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emi
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
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