愛犬たちが見たリヒャルト・ワーグナー

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  • サイズ B6判/ページ数 349,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560084878
  • NDC分類 762.34
  • Cコード C0073

出版社内容情報

こよなく愛した犬たちとのかかわりを通して、大作曲家の生涯と創作の秘密を明らかにする、敬意と皮肉とユーモアに満ちた斬新な評伝。

大作曲家と犬たちの愛情物語

 本書はワーグナーの生涯のうち、リガを夜逃げし出世作となる『リエンツィ』を書いた時期からバイロイト祝祭の開始までという、もっとも重要かつ激動の時代を、当時共に暮らしていた犬たちに視点が寄り添う形で記している。ワーグナー自身の手紙や覚え書き、自伝といったオリジナルなテキストと、同時代から現代にいたる研究書や評伝をもとにした記述を大胆にリミックスした、物語のように読める斬新な評伝である。
 動物には理性がないと決めつけ、人間より一段下に見るような傲慢な考え方とは、ワーグナーはいっさい無縁だった。幼いころ、犬がらみで衝撃の体験をしてしまったワーグナーは、通りすがりの他人の馬車馬の扱いや家禽の運送方法にまで心を痛めるようになる。犬たちも、元の飼い主を捨て、自分からワーグナーのもとにやってきた。彼の人生の重大な局面のあれこれは、犬をはじめとする生き物たちの存在があったからこそ起こったのであり、著者は、生き物たちとの交流とそこから生まれた思想が作品に影響を及ぼした可能性まで、さまざまに考察する。
 笑いと涙と感動に満ち、時には呆れつつも心揺さぶられる、敬意と皮肉とユーモアにあふれた一冊。

まえがき

ロッバー、あるいは『さまよえるオランダ人』
 アアカワイソウナイヌ
 天命は自分で決める
 「ここはザントヴィーケだ」
 ルール・ブリタニア!
 トネルリ通りにて
 店じまい!

ヴェーヌスベルクのペプス
 ある犬の子供時代
 リヒャルト! 自由を! 聖霊の騎士!
 犬と革命
 「……犬にも、鳥にも、もう会わない……」
 パーポの愛の死
 山旅と哲学者
 女王からペプスへのお言葉

トリスタン、生きるのに疲れた馬、そしてブルドッグのレオ
 「ワーグナーは悪いやつ」
 ヴェネツィアの死んだニワトリあるいはトリスタン、第二幕
 新しい間借り人
 レオに絨毯を

老犬たちの逃避行
 捕まった白いプードル
 盗難事件
 ヴォータンの告別
 「ああ、われわれは世界というデーモンの哀れな玩具なのだ!」
 船は……
 ……沈む。

王様の花壇を荒らすニーベルンゲン
 「愛するポールに R・W」
 贈り物
 ヴォータンはもう羽を広げられない
 ぼくはアルトゥール・ショーペンハウアーなんて信じない!
 エピローグ、または聖金曜日の奇跡

訳者あとがき/参考文献抄/原注

【著者紹介】
1962年生まれのドイツ人ジャーナリスト、作家。哲学博士。新聞記者・コラムニストとして活躍するかたわら、ハイネなど詩人、芸術家に関する著書多数。近著は『ニーチェとワーグナー――愛と憎しみの物語』。邦訳は本書が初めて。

内容説明

犬たちがいなかったら、ワーグナーはワーグナーたりえなかった?笑いと感動、時には呆れつつも心揺さぶられる、敬意と皮肉とユーモアに満ちた斬新な評伝。

目次

ロッバー、あるいは『さまよえるオランダ人』(アアカワイソウナイヌ;天命は自分で決める ほか)
ヴェーヌスベルクのペプス(ある犬の子供時代;リヒャルト!自由を!聖霊の騎士! ほか)
トリスタン、生きるのに疲れた馬、そしてブルドッグのレオ(「ワーグナーは悪いやつ」;ヴェネツィアの死んだニワトリあるいはトリスタン、第二幕 ほか)
老犬たちの逃避行(捕まった白いプードル;盗難事件 ほか)
王様の花壇を荒らすニーベルンゲン(「愛するポールに R・W」;贈り物 ほか)

著者等紹介

デッカー,ケルスティン[デッカー,ケルスティン] [Decker,Kerstin]
1962年生まれのドイツ人ジャーナリスト、作家。哲学博士。新聞記者・コラムニストとして活躍するかたわら、ハイネなど詩人、芸術家に関する著書多数

小山田豊[オヤマダユタカ]
1963年生まれ。上智大学大学院ドイツ文学専攻博士課程満期退学。早稲田大学ほか兼任講師。テヴィンケル『コンサートが退屈な私って変?』(春秋社)の翻訳により、マックス・ダウテンダイ翻訳賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

星落秋風五丈原

31
リヒャルト・ワーグナーといえば、バイエルン国王ルートヴィヒに熱く口説かれたにもかかわらずつれなく逃げたり、他人の奥様を奪ったりと周囲を振り回した音楽家としてのイメージが強い。しかしそんな彼を振り回すことができた存在がいる。犬だ。本書は、常に彼の周りにいた歴代の犬達から見たワーグナーを描いた作品だ。犬視点といったところで、犬が「実はワーグナーはですね…」と語り始めるわけはない。アナーキスト宣言をしたり、同居人となったオウムに嫉妬する、なんちゃって犬視点で書かれているので、どうしても架空の話が混じる。2016/02/28

富士山やま

13
なんとなくイメージで、好きでない作曲家だったのだけども、なんと動物にも人にも深く愛される人だったのだろう! 波瀾万丈で、激しい人生。 「耐えがたい真実に耐えてゆくために、われわれには芸術があるのではないだろうか?」…芸術、素晴らしい。 あとがきでお勧めの「ワーグナー/偉大なる生涯」のDVDも観てみよう2018/05/12

すいれん

1
犬目線でご主人を冷静にかつあたたかく論じていて、興味深い。手紙や日記から人物像を浮かび上がらせる感じで、偉大な作曲家ワーグナーもさまよえる人間…それも犬たちに同情される愛すべきご主人さまだったんだなぁ、としみじみ。確かに犬たち(猫たち)は家族だ。ワーグナーの初期の作品を聴きたくなった。あとコジマの日記と書簡集も読みたい。2019/05/29

志村真幸

0
 2013年の生誕200周年にはワーグナー本がたくさん出たが、本書は愛犬たちの目を通した評伝という変わり種だ。ワーグナーは生涯を通して犬や鶏を愛し、身近に置いて慈しんだのだ。  ただ、もっと愛犬たちに特化した内容なのかと想像していたものの、基本的にはワーグナーの伝記である。リガを離れるところから始まり、バイエルンを追放されたあとくらいまでが扱われている。いかに奔放に生き、評価されず、庇護者を得てもすぐに失いといった生活を送っていたかが描かれる。  読みやすく親しみやすい伝記。  訳文は軽妙。 2021/10/31

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