出版社内容情報
こよなく愛した犬たちとのかかわりを通して、大作曲家の生涯と創作の秘密を明らかにする、敬意と皮肉とユーモアに満ちた斬新な評伝。
大作曲家と犬たちの愛情物語
本書はワーグナーの生涯のうち、リガを夜逃げし出世作となる『リエンツィ』を書いた時期からバイロイト祝祭の開始までという、もっとも重要かつ激動の時代を、当時共に暮らしていた犬たちに視点が寄り添う形で記している。ワーグナー自身の手紙や覚え書き、自伝といったオリジナルなテキストと、同時代から現代にいたる研究書や評伝をもとにした記述を大胆にリミックスした、物語のように読める斬新な評伝である。
動物には理性がないと決めつけ、人間より一段下に見るような傲慢な考え方とは、ワーグナーはいっさい無縁だった。幼いころ、犬がらみで衝撃の体験をしてしまったワーグナーは、通りすがりの他人の馬車馬の扱いや家禽の運送方法にまで心を痛めるようになる。犬たちも、元の飼い主を捨て、自分からワーグナーのもとにやってきた。彼の人生の重大な局面のあれこれは、犬をはじめとする生き物たちの存在があったからこそ起こったのであり、著者は、生き物たちとの交流とそこから生まれた思想が作品に影響を及ぼした可能性まで、さまざまに考察する。
笑いと涙と感動に満ち、時には呆れつつも心揺さぶられる、敬意と皮肉とユーモアにあふれた一冊。
まえがき
ロッバー、あるいは『さまよえるオランダ人』
アアカワイソウナイヌ
天命は自分で決める
「ここはザントヴィーケだ」
ルール・ブリタニア!
トネルリ通りにて
店じまい!
ヴェーヌスベルクのペプス
ある犬の子供時代
リヒャルト! 自由を! 聖霊の騎士!
犬と革命
「……犬にも、鳥にも、もう会わない……」
パーポの愛の死
山旅と哲学者
女王からペプスへのお言葉
トリスタン、生きるのに疲れた馬、そしてブルドッグのレオ
「ワーグナーは悪いやつ」
ヴェネツィアの死んだニワトリあるいはトリスタン、第二幕
新しい間借り人
レオに絨毯を
老犬たちの逃避行
捕まった白いプードル
盗難事件
ヴォータンの告別
「ああ、われわれは世界というデーモンの哀れな玩具なのだ!」
船は……
……沈む。
王様の花壇を荒らすニーベルンゲン
「愛するポールに R・W」
贈り物
ヴォータンはもう羽を広げられない
ぼくはアルトゥール・ショーペンハウアーなんて信じない!
エピローグ、または聖金曜日の奇跡
訳者あとがき/参考文献抄/原注
【著者紹介】
1962年生まれのドイツ人ジャーナリスト、作家。哲学博士。新聞記者・コラムニストとして活躍するかたわら、ハイネなど詩人、芸術家に関する著書多数。近著は『ニーチェとワーグナー――愛と憎しみの物語』。邦訳は本書が初めて。
内容説明
犬たちがいなかったら、ワーグナーはワーグナーたりえなかった?笑いと感動、時には呆れつつも心揺さぶられる、敬意と皮肉とユーモアに満ちた斬新な評伝。
目次
ロッバー、あるいは『さまよえるオランダ人』(アアカワイソウナイヌ;天命は自分で決める ほか)
ヴェーヌスベルクのペプス(ある犬の子供時代;リヒャルト!自由を!聖霊の騎士! ほか)
トリスタン、生きるのに疲れた馬、そしてブルドッグのレオ(「ワーグナーは悪いやつ」;ヴェネツィアの死んだニワトリあるいはトリスタン、第二幕 ほか)
老犬たちの逃避行(捕まった白いプードル;盗難事件 ほか)
王様の花壇を荒らすニーベルンゲン(「愛するポールに R・W」;贈り物 ほか)
著者等紹介
デッカー,ケルスティン[デッカー,ケルスティン] [Decker,Kerstin]
1962年生まれのドイツ人ジャーナリスト、作家。哲学博士。新聞記者・コラムニストとして活躍するかたわら、ハイネなど詩人、芸術家に関する著書多数
小山田豊[オヤマダユタカ]
1963年生まれ。上智大学大学院ドイツ文学専攻博士課程満期退学。早稲田大学ほか兼任講師。テヴィンケル『コンサートが退屈な私って変?』(春秋社)の翻訳により、マックス・ダウテンダイ翻訳賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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