出版社内容情報
死ぬほど退屈な夏、少年が微睡みのなかで見る、終わりのない夢……。ミルハウザーの神髄がもっとも濃厚に示された、初期傑作長篇。
ミルハウザー初期傑作長篇、待望の邦訳!
舞台は一九五〇年代のアメリカ、コネチカットの町、主人公の少年アーサーは、周囲の世界に潜んでいる驚異に魅惑されながらも、凡庸な日常に退屈して暮らしている。ポーの心酔者フィリップ、鉱石集めやボードゲームに熱中するウィリアム、不登校で人形や玩具を集めた部屋で過ごす少女エリナーという三人の「同好の士」がいる。
ある日、アーサーがいつものようにエリナーの部屋を訪れると、窓が開け放たれ、陽光が差し込み、腕まくり姿のエリナーを目にする……。
微熱を病む少年が微睡みがちのなかで見る「白昼夢」のような作品。中篇や短篇を特徴づける職人芸的な緻密さに貫かれた文章とは違い、「死」の影が全編を覆う。微に入り細を穿った、重厚で反復の多い文体は、思春期の生の瞬間を濃密に伝える。
作家ミルハウザーは『マーティン・ドレスラーの夢』でピュリツァー賞を受賞した、現代アメリカ文学を代表する重鎮。日本では柴田元幸氏の翻訳により『イン・ザ・ペニー・アーケード』『バーナム博物館』『三つの小さな王国』『ナイフ投げ師』が刊行され、熱狂的な読者を数多く獲得している。本書は、ミルハウザーの全作品のなかでも、作家の神髄が見事に示された傑作長篇。
【著者紹介】
1943年、ニューヨーク生まれ。アメリカの作家。1972年『エドウィン・マルハウス』でデビュー。『マーティン・ドレスラーの夢』で1996年ピュリツァー賞を受賞。邦訳に『イン・ザ・ペニー・アーケード』『バーナム博物館』『三つの小さな王国』『ナイフ投げ師』(1998年、表題作でO・ヘンリー賞を受賞)がある(以上、白水社刊)。ほかにFrom the Realm of Morpheus、Enchanted Night、The King in the Tree、Dangerous Laughter:Thirteen Stories、We Others:New and Selected Stories(2012年、優れた短篇集に与えられる「ストーリー・プライズ」を受賞)、Voices in the Night がある。
内容説明
少年が微睡みのなかで見る、終わりのない夢…思春期の生の瞬間、その息づかいを濃密に伝える。ミルハウザー初期傑作長篇、待望の邦訳!
著者等紹介
ミルハウザー,スティーヴン[ミルハウザー,スティーヴン] [Millhauser,Steven]
1943年、ニューヨーク生まれ。アメリカの作家。1972年『エドウィン・マルハウス』でデビュー。『マーティン・ドレスラーの夢』で1996年ピュリツァー賞を受賞
柴田元幸[シバタモトユキ]
1954年生まれ。米文学者・東京大学特任教授・翻訳家。『生半可な學者』で講談社エッセイ賞、『アメリカン・ナルシス』でサントリー学芸賞、『メイスン&ディクスン』で日本翻訳文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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