父を見送る―家族、人生、台湾

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  • サイズ B6判/ページ数 283p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560084601
  • NDC分類 924.7
  • Cコード C0098

出版社内容情報

悲しみは不意打ちのように、日常のふとした一瞬に姿を現す。台湾のベストセラー作家が送る、やさしさと情愛に満ちた家族の物語。

台湾文壇の重鎮が送る珠玉のエッセイ集

 デビュー以来、鋭利な筆致で話題作を書き続ける台湾のベストセラー作家・龍應台が送る、やさしさと情愛にあふれた家族の物語。母の老い、息子たちの巣立ち、そして父との別れ――「わたし」はそれをただ見送り、見守ることしかできない。
 本書は、著者が香港の大学で教鞭をとっていた時期に台湾紙・香港紙に連載され、中国語圏で人気を博した五九篇(?T「家族を見つめる」、?U「香港から見た風景」)と、台北市文化局長時代に見守った父の晩年を描いた一五篇(?V「父を見送る」)からなる。中国古典文学への深い造詣に裏打ちされた端正な文体と熟練された「語り」のテクニックで、ときにセンチメンタルに、ときにユーモアたっぷりに家族と人生を語る、珠玉のエッセイ集。
 執筆に講義に公務に、台湾と香港を飛び回る多忙な日々のなかから核心的な価値をさりげなく取り出し、独特な切り口で思索を加える――老いとは? 幸せとは? 国とは? 時間とは? そこには磨き抜かれた知性と台湾人特有の歴史観があり、欧米社会・台湾社会への批評性がキラリと光る。中国語圏で今でも売れ続けている大ベストセラー。『台湾海峡一九四九』に続く邦訳第二弾!

花を見るとき――序にかえて

?T ときに人生は、ひとりで歩かなきゃならないから ――家族を見つめる
 見送る/「娘によく似てる」/十七歳/永遠の愛/山道をどこまでも/
 寂しさ/信じる(信じない)/1964/だんだんわかった/鈍さ/ともに老いる/
 もしも父と/転んだあと――Kへの手紙/気にかける/マニキュア/
 「家って何ですか?」/母と散歩に/教育/入会/家に帰ろう/五百キロ/
 離婚する(離婚しない)/母の日のプレゼント/お金の通帳、時間の通帳/
 幸せとは/最後のアフタヌーンティ

?U 砂に跡あり、風に音あり、光に影あり ――香港から見た風景
 忙しい/鳥の名前/おらが村/「教わらなかった?」/火災報知機/
 薄扶林(ポクフラム)の三百五十年/増えたサルたち/新しいニュース/
 杜甫/ダンスホール/この路地で/台北の夜に集いし者たち/金門島/
 地雷を見つける草/普通の人が/ソウルでも/香港人の「国」/
 ソフィスティケーション/ムンバイの白い布/星月夜/カフカが大嫌い/
 私の前立腺/長江の化け物/オオカミが来た/ゲーリングの招待状/
 蔚藍(うつらん)の空/タンポポの根/訳あり物件/タイの時間/
 ラオスの距離/ルアンパバーンでフレンチを/ハスの花の国/ゆっくり見る

?V 故郷に咲き乱れるお茶の花 ――父を見送る
 いつもと同じ夢/武器を置く/議場へ/いつまでも女/入れ歯/同窓会/
 湖南訛り/ママ/歩こう/目を開く/プルメリア/見つめる/携帯を切る/
 一九一八年、冬/魂が帰る

訳者あとがき

【著者紹介】
作家、評論家。1952年、台湾高雄県生まれ。74年、成功大学外国語学部卒業。82年、カンザス州立大学で英米文学博士号取得。85年、『中国時報』紙上に掲載された評論が戒厳令下の台湾社会で大きな反響を呼び、出版された『野火集』は台湾出版界空前のベストセラーとなった。その後も次々に話題作を発表。86~99年、スイスとドイツに滞在。99~2003年、台北市文化局初代局長。2005年7月、龍應台文化財団設立。新竹清華大学教授、香港大学教授を歴任。2012~14年、行政院文化部部長。代表作に『台湾海峡一九四九』(白水社)、『野火集』『人在歐洲(ヨーロッパで考えること)』『百年思索(百年の思索)』『面對大海的時候(大海に向かい合うとき)』『請用文明來説服我(文明で私を納得させよ)』『孩子?慢慢來(わが子よ、ゆっくり歩け)』『親愛的安徳烈(親愛なるアンドレ)』など。

内容説明

息子のひとり立ち、母の老い、父との別れ―台湾文壇の重鎮が綴る、やさしさと情愛に満ちた家族の物語。

著者等紹介

龍應台[リュウオウダイ]
作家、評論家。1952年、台湾高雄県生まれ。74年、成功大学外国語学部卒業。82年、カンザス州立大学で英米文学博士号取得。85年、『中国時報』紙上に掲載された評論が戒厳令下の台湾社会で大きな反響を呼び、出版された『野火集』は台湾出版界空前のベストセラーとなった。その後も次々に話題作を発表。86~99年、スイスとドイツに滞在。99~2003年、台北市文化局初代局長。2005年7月、龍應台文化財団設立。新竹清華大学教授、香港大学教授を歴任。2012~14年、行政院文化部部長

天野健太郎[アマノケンタロウ]
1971年、愛知県生まれ。三河人。京都府立大学文学部国中文専攻卒業。2000年より国立台湾師範大学国語中心、国立北京語言大学人文学院に留学。帰国後は中国語翻訳、会議通訳者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ばんだねいっぺい

28
台湾海峡もよかったけど、これもいい。「ほとんどのことを見送るしかない」と言われるとしみじみほんとそのとおりだなと思う。父母を大切にと思いを強くした。2016/12/08

白玉あずき

23
友人大絶賛(勿論私も)。エッセイ好きな方、または親と自身の老病死を味わいつつある世代の皆さん、身につまされて涙腺ゆるみっぱなしになりますわよ。また天野さんの翻訳も文句なしに素晴らしい。今同時に読んでいる長田弘さんの父母を送る詩、死生観との違いも興味深かった。中国文人の数千年にわたる豊かな文化・教養の蓄積が、今も台湾に生きていたという喜び。西洋的文化思想より、漢籍漢文がすっと「肌になじむ」ので、何だかんだ言っても極東文化圏という物を意識させられる。2016/08/31

星落秋風五丈原

19
表紙は著者の母親の顔。若かった頃は美人だった彼女の写真は姉妹編ともいうべき『台湾海峡一九四九』に収録。たとえ親子ではあってもいつかは精神的にも肉体的にも離れてゆく関係について述べた「見送る」何もかもが不確かななかで信じるべきものについて述べた「信じる(信じない)」価値観がこれだけ事なるなかで普遍的な幸せについて述べた「幸せとは」がいい。クレーバーな人でわかりやすい文章で大事な事を伝えることが出来る書き手。2015/10/24

ののまる

12
母親として成長した息子との距離感に戸惑い、娘として死に向かう父と、惚けていく母に向かい合う日々。天野健太郎さんの訳が本当に素敵で。2020/08/10

勝浩1958

11
亡き父のことを想い読みました。戦中・戦後の苦労をほとんど語らずに亡くなりました。自分の辛い体験はひたすらに伏せて、ただただ我が母や息子の幸せを願っていたのでしょう。あらゆる戦争は市井の人々を苦しめます。この世から戦争や紛争が無くなることを願って止みません。2019/10/13

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