沈黙の山嶺(いただき)―第一次世界大戦とマロリーのエヴェレスト〈下〉

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  • サイズ B6判/ページ数 430p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560084342
  • NDC分類 292.58
  • Cコード C0022

出版社内容情報

世代、階級、植民地主義の終焉……第一次大戦後の時代の空気を、エヴェレスト初登頂に賭けた若者たちを通して描いた大作。

夢枕獏氏推薦! ヒマラヤ登攀史最大の謎に迫る
  英国の登山家ジョージ・マロリーは一九二四年六月八日、アンドリュー・アーヴィンとともにエヴェレストの山頂をめざし最終キャンプを出発したが、頂上付近で目撃されたのを最後に消息を絶った。果たしてマロリーは登頂したのか――。
 十九世紀の植民地主義が終焉を迎え、大戦へと突き進んで甚大な被害を出した英国。その威信回復の象徴となったのがエヴェレスト初登頂の夢だった。一九二一?二四年の間に三回にわたって行なわれた遠征では、参加した二六名の隊員のうち戦争経験者は二〇名にのぼった。
 本書は、血みどろの塹壕戦をからくも生き抜き、世界最高峰の頂をめざして命を懸けたマロリーら元兵士たちの生きざまを通して「時代」に息を吹き込んだ歴史ノンフィクションである。気鋭の人類学者である著者は、未発表の手紙や日記のほか各地に遍在する膨大な資料を渉猟し、執筆に一〇年をかけて彼らの死生観にまで迫る。
 兵士として隊員として、常に死と隣り合わせだった若者たちの「生」を描いた傑作!

【著者紹介】
1953年カナダのブリティッシュ・コロンビア州生まれ。処女作The Serpent and the Rainbow (1985)(『蛇と虹』草思社)で脚光を浴びる。2012年、本書Into the Silence (2011)で、優れたノンフィクションに与えられるサミュエル・ジョンソン賞を受賞。ナショナルジオグラフィック協会専属探検家を経て、現在はブリティッシュ・コロンビア大学人類学部教授。

内容説明

隊員26名中20名がかつて兵士・軍医だった。血みどろの塹壕戦をからくも生き抜き、世界最高峰の頂をめざして命を懸けた元兵士たち―。気鋭の人類学者が執筆に10年をかけ、彼らの生きざまを通して「時代」に息を吹き込んだ歴史ノンフィクション大作!サミュエル・ジョンソン賞受賞。

目次

第9章 ノース・コル
第10章 夢にまで見た頂上
第11章 フィンチの勝利
第12章 生命の糸
第13章 生の代償は死である

著者等紹介

デイヴィス,ウェイド[デイヴィス,ウェイド] [Davis,Wade]
1953年カナダのブリティッシュ・コロンビア州生まれ。ハーヴァード大学で博士号取得(民族植物学)。ハイチのゾンビ現象を民間信仰ヴードゥーの呪術と毒薬の作用に求めた処女作The Serpent and the Rainbow(1985)(『蛇と虹』草思社)で脚光を浴びる。2012年、『沈黙の山嶺―第一次世界大戦とマロリーのエヴェレスト』Into the Silence(2011)で、優れたノンフィクションに与えられるサミュエル・ジョンソン賞を受賞

秋元由紀[アキモトユキ]
米国弁護士。学部時代に真田濠で岩登りの手ほどきを受け、北はサシルイ岳から南は宮之浦岳までを歩く。米国で弁護士資格を取得後、開発援助や環境問題に関する非政府団体でスタッフを務めるかたわら、主にヒマラヤの登山記を収集。宝物はEric Shipton,The Mount Everest Reconnaissance Expedition 1951の初版本。訳書にタンミンウー『ビルマ・ハイウェイ』(第26回アジア・太平洋賞特別賞受賞)がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

星落秋風五丈原

22
第二回ではマロリーと同等の登山技術を持つジョージ・フィンチという登山家が初めて参加していたが、学歴もなくオーストラリア人の彼はパーティではよく思われていなかった。もし第二回でジョージ・フィンチとジョージ・マロリーがコンビを組んでベストの状態で挑んでいれば、初登頂はこの時達成できていたかもしれない。全く山にはど素人の私が読んでも状況の分析が出来るくらいに詳しく書かれている。しかし本書の目的は過去の誰かのあれこれを責めることではない。彼等が何を考え山に挑んだのか、二度と悲劇が起こらないために必要な事はなにか。2015/06/28

勝浩1958

11
エヴェレスト遠征隊は確かに国家の威信を背負っていたに違いないが、もう一歩で山頂に手が届くという瞬間には、そのような名誉や功名心は頭の片隅にも浮かばなかったであろう。ただ山頂に辿り着きたいという登山家の本能だけが働いていたに違いない。第一次世界大戦でいやと言うほど死に直面してきた彼らにとって、死はあまりにもありふれたことであったので、命があることよりも生きている瞬間のほうが大事だったのである。やはり死と引き換えでなければ、その恍惚感は味わえないだろうと想う。ある意味羨ましい人生である。2017/03/25

ケニオミ

8
マロリーはエヴェレストに登頂できたのか?それが知りたくて手にした本ですが、上下段、上下巻の大部でかなり疲れました。上巻を読み終わったところで、コロナによる緊急事態宣言により図書館が閉まり、下巻がすぐに読めなかったことも疲れる原因の一つでした。マロリーが登頂を目指したとき、カメラを持っていたので、到達したのであれば、そのカメラに証拠が残されているはずですが、それが見つかっていないのが悔しいです。一緒に登ったアーヴィンの遺体を誰か発見してくれないかな。二人はザイルで結ばれていたようなので、近くにあるのでは?2020/07/05

OZAC

7
本書は単なるエヴェレスト登山史にとどまらず、1920年代を取り巻く世界の情勢をバックボーンとして、エヴェレスト登頂に挑んだ人々を鮮やかに描き出す。本の構成としては、著者があとがきで述べているように、特に1921年の第一回遠征に力を割いているように見受けられる。著者と同郷の測量士ウィーラーにもだいぶ肩入れしているように感じたが、それを差し引いても素晴らしい出来である。残念なのは1924年の第三回遠征の描写が少ないことだろうか。前半のボリュームに比べると、駆け足で事実をなぞっただけのような気がしてならない。 2019/10/26

ひびキング

6
何故登るのか?という問いに対するあまりにも有名な言葉にこのノンフィクションでは新たな解釈を与えている。人類初の大戦を経て翳りつつある大英帝国の斜陽の中で、決して人に優しくはない自然に挑む人間達の一枚岩ではない孤独な戦いの記録。原題のsilenceは沈黙と言うより静寂と受け取れる。2015/10/14

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